はなびらひらく 2/3
コンスタンツェの妙な魔法で女性の体になってしまってから数日――あまりこの状況を悲観していないリンハルトとカスパルは、せっかくとばかりにその体のまま性行為にふけっていた。
お互いの胸を揉み合ったり、陰核同士を擦り合わせてみたり、膣口を指でなぞってみたり……と、興味から始まった行為は徐々に深いものになっていく。
そうなるともう、その先も試したくなるのは仕方がない。
「ねえカスパル、今日は挿れてみない?」
「えっ」
リンハルトはカスパルの割れ目を指先で撫でながら熱っぽく囁いた。
先ほどまでお互いの体を弄り合っていたので、カスパルのそこは既に潤っている。ちょんと指先で触れるだけでひくりと震え、軽く指を差し込むと花弁が綻んで内側の粘膜が露になった。
「挿れるって言っても、挿れるもんがねえだろ? どっちも女なんだからよ」
「ああ……それなら大丈夫だよ。ほら」
リンハルトは寝台の脇にある棚に手を伸ばし、用意していた張り型を取り出す。男性器を模したこれは、以前帝都を訪れた行商人から仕入れたものだった。
二人は既に何度も交わっている間柄ではあったが、本陣の防衛を務めることが多いリンハルトと、敵陣の制圧を主な役割とするカスパルでは肉体的な距離が離れている期間が長い。
この張り型はそんな状況が続いて体が疼いたときに、自分を慰めるためにとこっそり所持していたものだった。
「ね……これを僕のここに挿れてくれないかな?」
リンハルトは自ら股を開いて自分の秘裂を指で示す。リンハルトのそこもすでに濡れており、指で開いた襞の間からとろりと愛液が溢れ出していた。
実のところ、リンハルトとしてはカスパルの中に挿れてみたいという気持ちのほうが強かった。自分の手の中であられもなく乱れて、淫らに喘ぐ幼なじみの姿を見てみたい。
しかし、最初はどうしても痛みを伴うだろうし、カスパルが「これは痛い行為だ」と認識してしまえば今後も拒絶されてしまう可能性がある。
リンハルトとてカスパルが嫌がるのであれば無理強いするつもりはない。カスパルを泣かせたいわけでも、カスパルに嫌われたいわけでもないのだ。
……が、それはそれとして挿入はしてみたい。
ならば自分が最初に体験して、カスパルに「これは気持ちのいい行為である」と認識してもらおう――という思惑からの提案だった。
「お前がやりたいならいいけどよ……オレ、女としたことないから勝手がわからねぇぞ」
「まあ、そのくらいは想定内だよ」
カスパルの言葉を聞き流しつつ、リンハルトは自身の割れ目を更に広げてみせる。くぱぁっと大きく広がったそこは、刺激を求めてひくつきながら蜜を流し続けていた。
「だいぶ濡れてるし、指でもけっこう弄ったから多分いけると思うんだよね」
リンハルトは自身の膣口に張り型の亀頭をぴとりとくっつける。それを片手で固定しつつカスパルの手を引き、張り型を握るように促した。
「自分で挿れちゃったら自慰と変わらなくなっちゃうからさ。君の手で僕の中に挿れてくれないかい?」
「……わ、わかった」
カスパルは戸惑いながらも、促されるままリンハルトの膣へ張り型の挿入を試みた。
秘裂に宛がわれた張り型の先端が、入口を確かめるように何度もそこを往復する。加減がわからないあまり慎重になりすぎているのか、先端が膣口を刺激してくるだけでなかなか中には入ってこなかった。
カスパルにそんな意図はないのだろうが、焦らされているようなもどかしい刺激にリンハルトの下腹部がじんわりと熱くなってゆく。
「……っふ、ぅ」
「わっ……!」
無意識のうちに腰を動かしてしまい、張り型の先端がぬぷんと音を立てて膣内に入り込んだ。カスパルは驚いていったん張り型を抜きかけるが、それを制するようにリンハルトが手を重ねる。
「いいから続けて」
「お、おう」
催促されたカスパルは張り型を握り直してゆっくりと押し進めた。少しずつではあるが、張り型はずぶずぶとリンハルトの中へと入っていく。
「あっ……カスパル上手だね……」
「そ、そうか? これで合ってるのか?」
「うん、そのまま奥まで入れてみて……」
カスパルは更に張り型を膣の奥へと進める。膨らんだ雁首に膣壁が拡張され、未知の場所を暴かれる感覚にリンハルトの背中がぞくりと泡立った。
やがて張り型は最奥まで到達し、とん、と子宮口を突いたところで動きを止める。
「えっと……これでいいのか?」
カスパルは張り型を握った手を緩め、小刻みに動かしながらリンハルトの反応を窺っていた。
まだ異物感が強いが、痛みは感じていない。リンハルトは小さく息をついてカスパルを見上げた。
「ん、大丈夫……カスパル、次は少しだけ抜いてくれるかい? ゆっくりでいいから」
「ああ、こうか……?」
カスパルは言われた通りに張り型を引いていく。膨らんだ亀頭がずるりと抜け出ていく感触に、リンハルトは思わず声を上げていた。
「あ、あぁ……ッ」
「だ、大丈夫なのか?」
悲鳴のようなリンハルトの嬌声に驚いたらしく、カスパルは慌てて張り型を引き抜く。引き抜かれたそれは愛液でどろどろになっており、糸を垂らすほどに濡れそぼっていた。
「ごめん、ちょっとびっくりしただけだよ。ほら、続けて」
「……わかった」
カスパルは再び張り型を押し込み、慎重に引き抜く。何度かそれを繰り返すうちにコツを掴んだようで、次第に抽挿の速度は早くなっていった。
「あっ……! そこ、気持ちいいかも。あ、あっ……」
張り型がある一点を掠めたとき、鋭い快感が走ってリンハルトは背筋をしならせる。亀頭だけが入り込んだくらいの位置にある浅い部分だ。
リンハルトはそこを張り型に押し付けるように小さく腰を振り、指で陰核を擦って自身を慰める。そんなリンハルトの姿に興奮を覚えたのか、カスパルがごくりと喉を鳴らした。
「ここがいいのか?」
「うん、そこ……もっと擦って」
「こうか?」
「あ……あ、あ……っ」
カスパルはリンハルトの様子を窺いながら慎重に張り型を動かす。
初めは恐る恐るという様子だったが次第に激しく抜き差しするようになり、ときおり角度を変えて内壁を強く押し込む。張り型を動かすたびに結合部からぐちゅぐちゅと水音が響き、溢れ出た愛液が敷き布を濡らしていった。
「んっ、ふ……ぁ……あ……♡」
「あ……すげぇなこれ……」
目の前で乱れる幼なじみの姿を見ながら、カスパルは自分の下半身にも熱が集まってくるのを感じていた。カスパルの腰が自然と揺れ、触れもしていない割れ目からじわりと愛液が滲んでくる。
「やべ……オレもなんか変だ……」
「ん……カスパルも気持ち良くしてあげるからさ、お尻をこっちに向けてくれる? そうそう、僕の顔を跨ぐような感じで」
カスパルは言われるままリンハルトの顔を跨ぐ体勢を取った。カスパルの目の前にはリンハルトの秘部があり、リンハルトの目の前にもまたカスパルの秘部がある。
「あ……すごい……カスパルの中がよく見えるよ。ヒクヒクしてて可愛いね」
リンハルトはカスパルの襞を指で開き、蜜を滴らせる膣穴を覗き込む。カスパルの膣はすっかり濡れそぼっており、襞の中に溜まっていた愛液がとぷりと溢れ出してきた。
「ひあっ、待っ、そこぉ……!」
親指と人差し指で硬くしこったカスパルの肉芽を摘めば、カスパルはビクビクッと腰を震わせる。そのままくにゅくにゅと捏ねるように刺激すると、膣口や肛門が淫らに開閉してリンハルトの目を楽しませた。
先端をカリカリと引っ掻いたり、きゅっと強めに押し潰したり、爪先で弾いてみたり……様々な方法で肉芽を虐めるたびに、カスパルの体は面白いように跳ねる。
「ひっ、うぁあああっ! それ、変になるぅ……!」
「ん……もっと気持ち良くしてあげるね」
リンハルトはカスパルの秘所に顔を近づけ、ちゅぷりと音を立てて舌を差し込んだ。熱い粘膜同士が触れ合い、溶けそうなほどの快感が接触面から広がってゆく。
「わっ……! リ、リンハルト、そんなとこ舐めるなって!」
「なんれ? きもちいいれしょ?」
「しゃべるなってば……うぁっ!」
じゅるるっ……と音を立てて愛液を吸い上げられ、カスパルの体がビクンと跳ねる。ぬるついた舌先が敏感な割れ目を何度も往復する度に、甘い痺れに似た快感がカスパルを支配した。
「ひうっ……あっ……だめだそれ……っ!」
カスパルは刺激から逃れようと身を捩るが、かえって陰部をリンハルトの口に擦り付けてしまっている。
肉付きのよい尻が目の前で揺れる様子を眺めながら、リンハルトは包皮を被ったカスパルの肉芽を唇で優しく食んだ。
「ひっ!? そ、そこは……!」
包皮を剥いて露出させた陰核に軽く歯を立て、尖らせた舌先でチロチロと先端を刺激する。強く吸い上げては優しく撫で、緩急をつけて敏感な肉芽を慰めると、カスパルは為す術もなく快楽に溺れていった。
「あうっ……ひゃ……んっ♡ はぁ、あ……♡」
リンハルトは口を大きく開けてカスパルの女陰を全て覆い、じゅるるっと勢いよく吸い上げた。
同時に親指の腹で充血した肉芽をぐりぐりと押し潰し、転がすように愛撫して二ヶ所から攻め立てる。剥かれたばかりの敏感な部分を容赦なく刺激され、カスパルは太腿をガクガクと震わせた。
「あっ♡ あっ、あっ♡」
「んむ……ぷぁ、カスパル、すごくいやらしい顔になってるよ」
「うぁっ……こんなの無理だって……っ♡」
カスパルは無意識のうちに腰を振り、自らリンハルトの口元に性器を押し付けている。それに気付くと慌てて腰を引くが、すぐにまた快感を求めて擦り付けてしまっていた。
「ふふ、可愛いね。でも、僕の中もちゃんと可愛がってよ」
「ふぁ……っ、わかったからちょっと待ってくれ……」
カスパルは快感の波が過ぎ去るのを待った後に、リンハルトの秘部に入っている張り型を動かす。先ほどより深く挿入されたそれは子宮口を押し上げ、奥を突かれる快感にリンハルトの口から甘い吐息が漏れる。
「ん……あ……そこだよ……もっと突いて……」
「こうか?」
「あ……うん、上手……♡」
ぐちゅ、ぬぷ、と濡れた音を立てながら張り型を咥えるそこを、カスパルは一心不乱に攻め立てた。
リンハルトの真似だろう、カスパルも拙い手つきで陰核を摘んでやわやわと刺激してくる。小さなそこを潰さないように加減をしているせいか、激しい愛撫ではなかったがリンハルトにはそれで充分だった。
「カスパル、そこいいっ……! もっとぉ……♡」
「は、ぁ……リンハルト……ッ♡」
二人は夢中でお互いの性器を刺激し合い快楽を貪った。絶頂が近付いてきたリンハルトの腰がぶるりと震え、膣がきゅっと張り型を締め付ける。
リンハルトの期待に応えるように、カスパルの手の動きは激しくなってゆく。張り型が抜ける寸前まで引き抜いたかと思うと、次の瞬間には一気に根元まで押し込まれた。勢いよく奥を突かれたリンハルトの腰が跳ね、その振動によって更に奥まで張り型を咥え込む。
「あっ……すご……カスパル激しすぎ……♡ 僕もうイっちゃいそう……カスパルもイこうね?」
リンハルトはカスパルの膣に指を押し込んで性感帯を探し当て、指の腹でグリグリとその部分を責め立てる。同時に陰核を前歯で甘噛みすると、カスパルは悲鳴に近い声を上げた。
「えっ、あ、あ♡ そ、それダメだ……あぁぁっ♡」
「ふふ……一緒に気持ち良くなろう?」
「あ、あぁぁっ♡ イク……♡ あ、あぁぁぁっ♡」
「んっ、あぁんっ♡ カスパル……ッ♡」
二人の体が痙攣するように小刻みに跳ね、互いの秘裂から勢いよく潮が噴き出す。それはお互いの顔にまで飛散し、快感に火照った頬を濡らしていった。
「あ……あぁ……♡」
「はあっ、すごい量……♡」
カスパルはそのまま倒れ込むようにしてリンハルトの上に覆い被さる。
荒く呼吸を繰り返しながらしばらく抱き合ったあとは、どちらからともなく唇を重ねた。そのまま舌を絡め合うと、互いの唾液が混ざり合って糸を引く。
「リンハルト……その、それ、オレにもしてくれよ。なんか、ここがムズムズするんだ」
カスパルの視線の先にあるのは、いまだリンハルトの体内に収まっている張り型だった。張り型を咥えてよがるリンハルトの姿に感化されたのか、カスパルの膣穴もまた張り型を欲しているらしい。
「うん、今度は僕が挿れてあげるね」
リンハルトは自分の中に収まっていた張り型を抜いてカスパルに向き直った。
カスパルの片足を持ち上げ、愛液に濡れたそこに張り型を宛がう。片手で襞を割り開きながらもう片方の手で張り型を押し込むと、カスパルはゆっくりと息を吐きながら体の力を抜いてそれを受け入れた。
「大丈夫? 痛かったら言ってね」
「ん……平気だから、続けてくれ……」
「うん……ゆっくり動かすね」
リンハルトはカスパルの様子を見ながら慎重に抜き差しを始める。最初は苦しげだったカスパルの声にも徐々に艶やかな色が混じるようになり、律動に合わせてか細い嬌声を漏らし始めた。
「んっ、なんか変だ……奥がジンジンして……」
「奥……ここがいいのかな?」
リンハルトは張り型の先端をカスパルの子宮口にぐりぐりと押し付ける。かと思えば子宮口にぴたりと宛がった張り型を小刻みに振動させ、異なる刺激を与えてカスパルの性感帯を探った。
「膣の中には二箇所の性感帯があると言われてるんだよね。ひとつめはここで……」
「ひゃうっ♡ だめだ……そこはっ♡」
リンハルトは一度張り型を引き抜き、亀頭だけを浅く抜き差しする。そうしながら雁首で陰核の裏側を擦ってやれば、カスパルは腰をびつくかせて軽く達したようだった。
「もうひとつがここ、子宮口だね」
「あっ、あっ、あっ、ああぁ~っ♡」
張り型を再び奥まで挿入し、今度は先端で子宮口をトン、トン、と軽くつつく。達したことによって開いている子宮口を断続的に刺激され、カスパルは口の端から涎を垂らしながら喘いだ。
「あ……そんなにされたら……っ!」
「ふふ、感じちゃうよね」
リンハルトは張り型を激しく抽挿させながらカスパルの乳房を揉みしだいた。張り詰めた乳首を摘ままれ引っ張られ、カスパルは痛みを伴う甘い快感に悶える。
「あんっ♡ あぁっ♡ リンハルトぉ……っ♡」
「はぁ……カスパル可愛い……もっと見せて……」
カスパルはリンハルトの首に腕を回し、自らも腰を振りながら快楽を求めた。結合部からはぐちゅぐちゅという淫猥な水音が響き、カスパルの秘裂から溢れた愛液がリンハルトの手を汚していく。
「あっ♡ そこぉっ♡ ああぁっ♡」
カスパルの絶頂が近いことを察したリンハルトは、充血したカスパルの陰核に手を伸ばして指先で刺激し始めた。二本の指で挟まれこりゅっと扱かれると、その度にカスパルの中がきつく締まる。
「あ、ああっ♡ イク……♡ イっ……あっ、あっ、ああぁ~ッ♡」
カスパルの膣がきゅううっと収縮するのと同時に、亀頭が抜ける寸前まで張り型を引き抜く。そしてそれを勢いよく最奥まで押し込み、子宮口をぐりゅっと押し潰した。
「あっ!? あっ、あっ、あぁーッ♡」
激しい突き上げを受け、カスパルは背を仰け反らせて再び絶頂を迎える。カスパルの秘裂からはぷしゃあっと透明な液体が噴き出し、リンハルトの手や自身の太腿に飛び散った。
「ふふ、すごい……♡ そんなに気持ちよくなってくれたんだね」
「はぁ……あ……あぁ……」
連続絶頂の余韻で脱力しているカスパルの中から、リンハルトがゆっくりと張り型を引き抜く。栓を失ったそこからはどろりと愛液が零れ、質量を失った膣口がぱくぱくと開閉を繰り返した。
「カスパルのここ、すごく濡れてるね。おいしそうだなぁ」
「あ、え……?」
リンハルトはカスパルの両膝を抱え上げると、そのまま股間に顔を埋めた。そして濡れそぼった秘部に舌を差し入れ、溢れ出る蜜をじゅるると音を立てて吸い上げる。
「えっ、あ、あぁっ♡」
突然のことに驚いたカスパルだったが、すぐにその行為の気持ち良さに意識を持って行かれた。
リンハルトの舌が膣内に侵入し、ざらついた表面で敏感な部分を舐め上げられる。カスパルは自らリンハルトの顔に性器を押し付け、与えられる快感に身を委ねていた。
「あぁ……あふ……♡」
リンハルトはカスパルの太腿を掴んで固定すると、今度は陰核を口に含む。熱い口内で何度も優しく甘噛みし、吸い上げ、舌の先で転がす。同時に膣内にも指を入れて掻き回すと、カスパルの体は歓喜に打ち震えた。
「んっ、あぁっ♡ はぁ……リンハルトぉ……♡」
「ん……んむ……はあ……イッた後だからかな、さっきより熱くなってるね」
可愛らしいカスパルの反応を見たいあまり、リンハルトは夢中で小さな陰核を貪る。尖らせた舌先で転がし、根元から先端に向かってじっとりと舐めてやれば、カスパルは体を震わせて悦んだ。
「あ、あ、あ……また、イッ……あ、あ……♡」
再び訪れた絶頂にカスパルは身を捩らせながら喘いだ。リンハルトは更に強くカスパルの肉芽を吸い、舌の先で尿道口を刺激して休むことなく快感を与える。
「ああぁっ♡ だめだ……もう……っ!」
「んっ……いいよ、何回でもイってごらん?」
「あぁっ♡ あ、ああぁぁ……っ♡」
カスパルは連続で訪れる絶頂に為す術もなく翻弄され続けた。もはや自分の意思では体を動かすことができず、リンハルトにされるがままになっている。
「はぁ……カスパル……僕も……」
しばらくカスパルの秘部を味わっていたリンハルトは名残惜しそうに口を離すと、愛液を零す自らの秘裂をカスパルのそこに擦り合わせた。
「んっ……カスパル……」
「あぁ……ん……」
互いの陰核同士が触れ合い、快感が電流のように駆け巡る。二人は同時に腰を動かして陰核同士を押し潰し合い、溢れ出る愛液を塗り広げるように互いの膣口を擦り合わせた。
「あ……あ……これ気持ちいい……♡」
「ん……カスパルのここもぬるぬるしてて気持ちいいよ……」
カスパルの秘裂からは絶え間なく愛液が流れ出し、リンハルトのそれと混じり合って粘着質な音を立てている。二人のそこはすっかり蕩けきり、お互いの粘膜が溶け合うような快感をもたらした。
「はぁ、ん……カスパル……カスパル……」
「あぅっ♡ あぁっ♡ あんっ♡」
二人は本能のままに強く抱き締めあい、ひたすらに腰を振り続けた。硬くしこった陰核同士がぐりゅっと押し潰れるたびに、二人の口からは甘い声が上がる。
「あっ、あっ、あっ! イク……あ、ああっ!」
「僕も……一緒に……っ」
陰核で陰核を犯し合いながら同時に果て、二人は秘裂から大量の潮を噴き出した。カスパルはぴゅっ、ぴゅっと断続的に潮を吹き続け、何度も軽い絶頂を繰り返している。
「はぁ……たくさん出たね……」
「あ……あぁ……♡」
カスパルは全身を痙攣させながら余韻に浸っている。
リンハルトはそんなカスパルの唇を塞ぎ舌を絡めると、そのまま彼の上に覆い被さり胸元に顔を埋めた。そして柔らかな肌をちゅううっと吸い上げる。
「んっ♡」
「はぁ、可愛い……好き、好きだよカスパル」
「ん……オレも……」
リンハルトはカスパルの胸に顔を埋めたまま、ちゅっ、ちゅっと音を立てて口付けを繰り返した。ときおり乳首にも吸い付いて舌先で弄ぶと、カスパルは小さく身じろいで反応を示す。
やがてカスパルの呼吸が落ち着いてきたところで、リンハルトはゆっくりと起き上がった。そして未だにひくついているカスパルの秘部に手を伸ばし、膣内へ二本の指を沈めていく。
「ん……まだ足りないよね?」
「ふあっ……あぁ……っ」
カスパルはこくこくと頷くだけで、もはや言葉らしい言葉を発するのも難しいようだった。そんな様子すら愛らしく、リンハルトはカスパルの唇を軽く啄む。
「ふふ、すごい……こんなにトロトロになってる」
リンハルトは指を増やし、三本の指をばらばらに動かしてカスパルの中を掻き回した。ぐちゃっ、くちゅっ、と音を立てて掻き混ぜられ、カスパルは恥ずかしさに頬を染める。
「ね、今度は一緒に気持ちよくなろうか?」
「一緒に……?」
カスパルの物足りなさそうな反応を確認したリンハルトは、先ほどまでカスパルの中に挿れていた張り型を寝台に置き、代わりに別の張り型を手に取った。
亀頭にあたる部分が両方の先端に付いている長めの張り型だ。リンハルトはそれをカスパルに見せつけるように軽く振る。
「これ、どう使うものかわかるかな? こっち側を僕のここに挿れて、反対側はカスパルのここに入れるんだよ。それで二人で気持ち良くなれるんだって」
リンハルトはすでに潤みきっている自身の秘部へと張り型の先端をあてがった。片手で襞を開きながらもう片手で張り型を押し込み、亀頭を膣内に収めていく。
「んっ……こんなものでいいかな……カスパル、こっちに来て」
「あ……ああ」
リンハルトは張り型の根本部分を掴んで固定すると、もう片方の手を差し出してカスパルを呼んだ。カスパルは熱に浮かされたような表情を浮かべ、素直に手を取ってリンハルトの上に跨がる。
「ほら、君の好きなところに当ててごらん?」
「こ……こうか?」
カスパルは言われるままに腰を落とし、張り型を自らの秘部に咥え込んでゆく。既に一度張り型を挿入し、リンハルトの口淫によっても解されたそこは、思いのほか軽々と張り型を飲み込んでいった。
「あ……すごいね、カスパルのそこが広がってるのがよく見えるよ」
「ばっ……言うなって……」
カスパルは羞恥心から目を逸らすが、その先の快感を知っている体はもう止まらない。早く奥まで突き入れたいという欲望に駆られて、カスパルは少しずつ腰を進めていった。
「はぁ……あぁ……♡」
「ん……うまいよ」
カスパルはリンハルトに体重をかけないよう気をつけながら、恐る恐るといった様子で腰を動かし始めた。張り型はカスパルの奥深くにまで入り込んでおり、彼が動くたびに互いの子宮口をぐりぐりと押し上げる。
「あぁっ♡ あ……あ……」
「んっ……カスパル、もっと動いていいよ」
カスパルの動きは徐々に大胆になり、抽挿するように激しく腰を打ち付けた。結合部からは愛液が大量に溢れ出し、飛び散った飛沫が互いの下腹部を濡らしている。
「あっ♡ あっ♡ 激しっ……♡」
膣の奥を張り型で激しくほじくられ、リンハルトはカスパルの手を握りながら髪を振り乱した。
相手に抱かれているような状態なのに、目の前ではその相手も淫らに喘いでいて、抱いているのか抱かれているのか判断がつかない。その不思議な一体感が二人の快感をいっそう高めていく。
「ん……そろそろ僕も動いていいかな?」
「あっ……!」
リンハルトはカスパルの尻を掴み、下から突き上げる形で抽送を始めた。カスパルは自重によってより深い場所を突き上げられ、結合部から愛液を迸らせる。
「あっ! ああぁっ♡ そこ……っ!」
「はぁっ……カスパル……気持ちいいかい?」
「あぁっ♡ あぁっ♡ いい……っ♡」
「ん……僕もいいよ……カスパルのここがきゅって締まるとね、張り型を通して振動が僕の中まで伝わるんだ」
リンハルトに突き上げられるたび、カスパルは無意識のうちに張り型を強く締め付けていた。そのせいでリンハルトの中に埋まっている張り型も小刻みに震え、二人の膣口を広げて感覚を共有しているような錯覚を与えてくる。
「あっ、すごい、ね……僕が感じてるのも伝わってるかい?」
「あぅっ♡ はぁっ♡ あぁ~っ♡」
リンハルトはカスパルを強く抱き締めると、密着したまま腰を打ち付けて互いの性器を刺激し合った。二人の間で陰核同士が擦れ合い、乳房が押し潰されて形を変える。
「あぁ……イク……またイクッ……♡」
「うん、僕もまた……一緒にイこうね」
「んっ♡ んぅっ♡ ん~っ♡」
二人は同時に絶頂を迎えると同時に唇を重ね合わせた。舌を絡め合いながらビクビクと体を震わせ、繋がった秘部からとめどなく潮を吹き出す。
生温い体液がお互いの股間を濡らす感覚すら心地よく、二人はしばらくの間そのままの体勢で余韻に浸っていた。
その後、湯浴みや着替えを終えた二人は、先ほどまでの乱れっぷりが嘘だったかのようにいつも通りの調子で会話をしていた。
「そういや次の戦はこの体で出陣することになるよなあ……オレはラディスラヴァの部隊から女竜騎士用の鎧を借りるけど、お前はどうするんだ?」
「僕もドロテアあたりから女性魔道士用の服を借りるつもりでいるよ。さすがに男性用のだと大きくて動きにくいし」
「ドロテアに……って、あのやたら派手な平服みたいなやつか」
「不本意だけどそうなるよね……」
女性魔道士ご用達の豪奢な礼服を思い浮かべながらリンハルトはため息をつく。
もともと魔道士や祈祷兵の戦闘服は性別による差異が少ないため、多少の派手な服は許容できるつもりではあった。とはいえ、あれはいくらなんでも華美すぎである。
「まあ、似合いそうだからいいんじゃねえの?」
がっはっは、と豪快に笑うカスパルをリンハルトは恨みがましく見つめる。そんなときふと閃いて、リンハルトは「あっ」と小さく声を漏らした。
「せっかくだから今度は女性的な服を着たまましてみないかい? ほら、カスパルも女性の斧戦士用の服とか借りてきてさ。ああ、踊り子の衣装なんかもいいね」
「お前、この妙な状況を積極的に活用しようとするよな……いや、リンハルトらしいけどよ」
カスパルは呆れたように苦笑したが結局はリンハルトの提案を受け入れ、今度は女性用の衣装で楽しむことになったのであった。
もちろん、行為に使用した服を返すのはいたたまれないため買い取りである。
2
すっかりと姿が変わった幼なじみを前にして、リンハルトは困惑すると同時に深い興味を抱いていた。
ぴっちりとした肌着を押し上げる豊満な乳房と、引き締まった腰回り。張りのあるお尻はきゅっと持ち上がっていて、そこから伸びる脚には筋肉と脂肪がほどよく乗っている。
出るところは出て締まるところは締まった、健康的な色香がある肢体だった。
「うん。とっても魅力的だと思うよ、カスパル」
「いや、魅力のあるなしはどうでもいいんだけどよ……」
賞賛の言葉を述べるリンハルトとは裏腹に、カスパルは辟易した表情を浮かべる。
元来は男性であるカスパルがこのような姿になったのはコンスタンツェの魔法が原因だった。彼女自身は「一瞬で髪型を変える魔法」を研究していたようなのだが、何の手違いなのか髪型ではなく性別が変化してしまったのである。
「こんな姿じゃあ、鍛錬しにくくて困るぜ。胸が揺れて邪魔だし、重いんだよなこれ」
カスパルは苛立たしげに両腕を胸の下で組む。豊満な胸が腕に押されてゆさっと揺れ、その違和感にカスパルは眉間の皺をますます深くした。
「お前はあんま変わらねえな」
「まあ、そうだね」
女性の体になってしまったのはリンハルトも同じだった。
とはいえ、もともと肉付きの薄いリンハルトは胸や尻の膨らみも控えめである。その上にゆったりとした法衣を纏っているのだから、着位の状態では肉体的な変化はほとんど見受けられない。
更には元来の中性的な顔立ちも相俟って、リンハルトの体が女性に変化していることに気づく者は皆無だった。
「それにしても、柔らかそうだよねえカスパルの体。ちょっと触ってみてもいいかな?」
「……お前、女の体にも興味あったんだな」
「カスパルだからだよ」
臆面もなくそう言ってのけたリンハルトに、カスパルは苦笑して「まあいいけどよ」と肩を竦める。
そもそもリンハルトは男性にしか性的な興味を抱かないわけではないのだが――どちらにせよ、カスパルだからこそ触れたいと感じるのは確かだった。
「じゃあ、遠慮なく」
承諾を得たリンハルトは、寝台に腰をかけていたカスパルの横に座ってさっそくその体に手を伸ばす。
「……あ、柔らかいね」
両の手で触れた豊満な乳房は、想像していた以上に柔らかな弾力を返してきた。薄い布越しに触れたその感触は、若々しい果実のような張りと瑞々しさに溢れている。
「うん、すごく気持ちいいよ」
リンハルトは感嘆のため息とともに、両手でやわやわと乳房の感触を確かめていく。手からあまるほどの質量を持った乳房に指が深く沈み込み、動かすたびにふにふにと形を変えた。
「はあ……すごいね、これ」
「……そんなにいいもんなのか?」
うっとりとした声を漏らすリンハルトに、カスパルは好奇心に満ちた瞳を向ける。
あまり女性の体に感心を示さないカスパルではあるが、楽しそうに乳房を揉むリンハルトの姿に興味が湧いたらしい。
「なあ、お前のも触らせてくれよ」
「僕の? 別に構わないけど、あまりおもしろくないかもしれないよ」
カスパルにせがまれたリンハルトは法衣を寛げて薄手の中衣だけの姿になる。
法衣の上からではわからなかった膨らみをカスパルはまじまじと眺め、それからおそるおそるといった様子で手を伸ばした。
「……んっ」
カスパルの温かい手で包まれる感覚に、リンハルトは思わず鼻にかかった吐息を漏らす。それはいつもの肉刺だらけの硬い掌ではなく、細く柔らかな女性の手だった。
「わっ……結構やわらけえな」
カスパルは感心したように呟きながら、指を動かして胸の感触を確かめてゆく。
指先に少し力を入れて揉んだり、下から持ち上げるように揺らしてみたりと、カスパルの手は興味の赴くままリンハルトに触れてきた。ふにゅりとした感触とともに指が乳房へと沈み込み、包み込んだ掌の中で柔らかい膨らみがゆるゆると形を変える。
「ふふっ、くすぐったいね」
むにゅむにゅと胸を揉みしだかれる感覚にリンハルトは身を捩った。
二人は互いに乳房を揉み合い、その感触と体温を楽しんだ。そうしているうちにその先への好奇心がむくむくと湧き上がり、興味に促されるまま二人は同時に口を開く。
「なあ」
「ねえ」
声が重なり、リンハルトとカスパルは顔を見合わせて小さく吹き出した。
「リンハルトから言えよ」
「ええ……? ずるいなあ」
カスパルに続きを促され、リンハルトは文句を言いながらも再び口を開く。
「じゃあ……もっとすごいことしてみない?」
リンハルトは中衣の合わせを緩めると、薄手の肌着をずらして胸の膨らみを露出させる。ぷるんと揺れて飛び出した二つの白い膨らみに、カスパルは思わず目を奪われたようだった。
「カスパルの服も脱がせていい?」
「お、おう」
リンハルトはカスパルが着ていた肌着をたくし上げ、胸を覆っていたさらしも外してしまう。
カスパルの乳房はなかなかの大きさを誇っているが、自重で垂れ下がることはなく張りのある丸みを形成している。その頂点にある桃色の蕾もツンと上を向き、吸い付きたくなるほど瑞々しい色と形をしていた。
「わ……すごく綺麗だね。下も脱がせていい?」
「……好きにしろよ」
リンハルトはカスパルを寝台に横たえて下衣の中に手を突っ込み、秘所を覆う薄い布もするりと脱がせてしまう。
ぴっちりと閉じた花弁が外気に晒され、その刺激によってひくんと震えた。秘所を隠す茂みは薄く柔らかく、豊満な肢体とは裏腹の未熟さがリンハルトを背徳的な気分にさせる。
「やっぱりここも女の子になってるんだね」
カスパルの恥丘を指先でそろりとなぞり、リンハルトは感嘆のため息を漏らした。剥き出しになった割れ目を指先で軽くつついてみると、ぷにっとした柔らかな弾力が返ってくる。
リンハルトも法衣と下衣を脱ぎ去り、一糸纏わぬ姿となった。最後に残った薄い布切れを指でずらし、焦らすようにしながら自らも秘部を露にする。カスパルの視線がちらちらとそこに向けられているのを感じ、リンハルトはくすりと小さく笑った。
「いつもと違うからなんだかどきどきするね」
「おう……なんか、変な感じだな」
柔らかくなった肌や滑らかな肌を堪能するように二人は体を擦り付け合う。お互いの体に触れるのは初めてではないが、女性の体同士での触れ合いは当然ながら未経験だ。
「あ……っ」
触れ合ったカスパルの肌が熱を帯びてきたのを確かめてから、リンハルトはそっと彼の股間に手を伸ばした。
しっかりと閉じた割れ目を指で押し開くと、湿った粘膜の感触がする。浅い部分に指を潜り込ませて肉襞を広げれば、くちゅりと粘着質な音がして蜜のような粘液が溢れ出してきた。
「気持ちいい?」
「ん……わからねえ……」
「じゃあ、これは?」
リンハルトはカスパルの花弁の上にある小さな膨らみを軽く摘む。まだ直接的な愛撫を受けていなかったそこは、しかし触れ合いによって硬さを増しているようだ。
「ひっ……!」
突然の刺激にカスパルは小さく悲鳴を上げて身を竦ませた。
リンハルトは指先で肉芽を転がすようにして優しく擦り、ときおりきゅっと強く引っ張ってみる。その度にカスパルの体がびくんと跳ね、蜜壺からはとろりとした愛液が溢れてきた。
「ん……っ、あ……リンハルトぉ……!」
カスパルはもじもじと太腿を摺り合わせながら切なげな声を漏らす。
その声に応えるように指先でくりくりと執拗にそこを弄ると、カスパルは耐えられないといった様子でリンハルトの腕をぎゅっと掴んだ。
「気持ちいい?」
「んっ、なんか……ぞわぞわする」
初めて感じる強い快感に戸惑いながらも、カスパルはリンハルトの問いかけに素直に答える。その表情はすっかり蕩けてしまっていて、瞳の奥は快感への期待に染まっていた。
「カスパルのここ、とろとろになってるね。ねえ、口でしてもいいかな?」
「ん……いいけどよ。変な味がしても知らねえぞ」
カスパルは恥ずかしそうに視線を泳がせながらも、リンハルトを招くようにおずおずと脚を開く。リンハルトはその間に自分の体を割り込ませ、露わになったカスパルの秘部に顔を近付けた。
「ひゃうっ」
濡れた花弁をぺろりと舐め上げると、カスパルはそれだけで甲高い声を上げる。
リンハルトは包皮を被ったままの肉芽を舌先でちろちろと擽ってから、ぷっくりと膨らんだそれを口に含んだ。そのままちゅうっと軽く吸い上げ、舌先で飴玉を転がすように弄ぶ。
「ん……っ、ふ……あぁッ!」
小さな突起を吸い上げられ、舌先で転がされる感覚にカスパルはびくびくと腰を跳ねさせる。カスパルの秘裂からはとめどなく蜜が溢れ出し、それを舌で掬って飲み下すたびにリンハルトの体の奥にも熱が生まれていった。
「や……っ、あ……んんっ」
カスパルは太腿でリンハルトの頭を挟み込み、体の奥から湧き上がる未知の感覚に戸惑いの声を上げ続ける。
それでも抵抗することなく身を任せてくれていることに愛おしさを覚えながら、リンハルトは夢中でカスパルのそこを味わった。
「ふぁっ! あっ、そこ……変だ……っ」
指先でくにくにとカスパルの肉芽を捏ねながら、襞の裏側を舌でねっとりと舐め上げる。秘裂からは絶え間なく愛液が溢れ出しており、花弁がひくひくと痙攣して限界が近いことを知らせていた。
「や……なんか、くる……!」
カスパルは未知の感覚に怯えた声を上げながら、リンハルトの頭を掴んだ手に力を込める。
絶頂が間近であることを悟ったリンハルトは指先に力を込め、充血して敏感になった肉芽を擦りながら舌で膣内を掻き回した。
「ふぁ……あっ、も、無理……っ」
カスパルが泣きそうな声で限界を訴えた瞬間、リンハルトの舌を押し返すかのように膣穴がきゅっと収縮する。それとほぼ同時にぷしゃっと透明な飛沫が吹き出し、さらさらとした体液がリンハルトの顔に降りかかった。
「うぁっ……はあ、はあ……」
カスパルは脱力した体を寝台に投げ出して荒く呼吸を繰り返す。
リンハルトは絶頂でぐったりと脱力したカスパルの体を労わるように太腿を撫でつつ、名残惜しげにひくつくそこから顔を離した。粘ついた体液がリンハルトの口と膣の間で糸を引き、その様子を見たカスパルはかあっと顔を赤くする。
「え……あ、オレ、もしかして漏らし……?」
失禁してしまったと勘違いしたらしい。カスパルは自分の股間とリンハルトの顔を交互に見つめ、赤く染った顔をますます紅潮させていく。
「違うよ。これは尿じゃなくて潮ってやつだね。気持ちよくなったら出るんだよ」
リンハルトは安心させるようにカスパルの頬を撫で、寝台の上に横たわった彼の髪をそっと梳いてやった。
「しお……?」
聞き慣れない単語にカスパルは首を傾げる。
「カスパルも気持ちよくなってくれたんだね、嬉しいな」
リンハルトは笑みを浮かべ、カスパルの頬を両手で包んでそっと口付けをした。それが心地よかったのか、カスパルは涙の膜に覆われた瞳をそっと閉じる。
「ねえ、僕も一緒に気持ちよくなってもいい?」
リンハルトはカスパルの脚の間に片脚を割り込ませた。そして自分の恥丘をカスパルのそれに押しつけるようにしながら、熱く濡れた花弁を重ね合わせる。くちゅりと湿った音を立てて二つの花弁が触れ合った瞬間、二人は小さく声を上げた。
「あ……リンハルトの、熱いな……」
「うん……ね、ここを擦り合わせると気持ちいいんだって。試していいかな?」
カスパルはこくりと首を縦に振ってリンハルトのお願いを受け入れる。
リンハルトはカスパルの腰を抱くようにして浮かせ、お互いの秘所をぴたりと重ね合わせた。先程の絶頂によって溢れ出した蜜が潤滑油となり、秘裂同士が擦れる度にくちゅくちゅと淫猥な水音が響く。
「あ……これ、気持ちいいね……」
「ん……っ、あぁっ……オレもっ、いいっ……」
愛液で濡れた粘膜同士が擦れ合う快感に、リンハルトとカスパルは熱い吐息を漏らした。すっかりと充血した肉芽同士が擦れるたびに痺れるような快感が生まれ、もっと強い刺激を求めて二人の腰の動きが激しくなっていく。
「ん……っ、カスパル……っ」
「ふあっ、あ……リンハルトぉ……ッ!」
お互いの名を呼ぶ声すらも興奮の材料になり、二人は夢中になって秘所を重ね合わせ続けた。溢れ出した蜜によって滑りがよくなり、腰を動かす度にぐちゅぐちゅと粘ついた音が響き渡る。
「リンハルト……おれ、また……っ」
「んっ……いいよ、僕もそろそろだから……」
カスパルの絶頂が近いことを察したリンハルトは、自身の肉芽をカスパルのそれに押し当てた。そしてそのままぐりぐりと乱暴に押し付け、敏感な裏筋同士が強く擦れ合うように腰を動かす。
「ひゃ……ッ! あっ、なんか……くる……!」
「んっ、あぁっ……! カスパル……!」
二人は同時に達し、秘部を押しつけ合った状態でびくびくと体を震わせた。密着した花弁からは熱い飛沫が迸り、互いの股間を濡らしてゆく。
「はあ……すごいね、これ……」
「ん……すげえ、よかった……」
絶頂の余韻に浸りつつ、二人は蕩けた瞳で見つめ合う。そしてどちらからともなく唇を重ねると、再びお互いの体に触れ合った。
リンハルトはカスパルの乳房を揉みしだき、カスパルもリンハルトの秘所を指先で弄る。絶頂を迎えた後だというのに、二人の体は更なる快感を求めていた。
「リンハルトのここ、硬くなってるな……」
カスパルはリンハルトの花芯の形を確かめるように指先でなぞる。達したばかりで敏感になっているそこに触れられる感触に、リンハルトは小さく吐息を漏らした。
「んっ……君もね」
リンハルトもお返しとばかりにカスパルの肉芽を押し潰す。お互いに硬く張り詰めた花芯に触れ合いながら、二人は相手の反応を確かめるように手を動かし続けた。
「んっ、は……なんか、これすげえな……」
「うん……気持ちいいね……」
敏感な部分への触れ合いで生まれる甘い刺激に、二人は夢中で相手の花芯を刺激し続ける。一度絶頂を味わったことで二人の感度は高まっており、少し触れるだけでも腰が跳ねるほどの快感を生み出していた。
「んぅっ……リンハルト、すげえ濡れてるな」
カスパルはリンハルトの花弁から溢れ出す蜜を指先で掬い取って弄ぶ。くちゅくちゅと音を立てて弄られるたびに、リンハルトのそこはひくついて新たな蜜を滴らせた。
「ふふ……カスパルだって、ほら……」
リンハルトはカスパルの耳朶を甘噛みしつつ花弁を割り開き、内側にある粘膜を露にする。初々しい色をした襞は濡れそぼり、ひくひくと物欲しげに震えていた。
互いの一番感じる部分に刺激を探りながら、二人はお互いの花芽を弄り続ける。その行為はまるで二人でひとつの快感を共有しているような感覚に陥らせ、深い快楽と共に幸福感を呼び起こした。
「あっ……イくっ……!」
「んっ、僕も……」
びくんと背を仰け反らせ、カスパルとリンハルトは絶頂を迎える。ぷしゃっと勢いよく噴き出した潮が互いの秘部を濡らし合い、二人の脚を伝い落ちて寝台を汚していった。
長い時間をかけて迎えた絶頂の後、二人はそのまま重なり合ったまま呼吸を整える。少し動くだけで触れ合った肌からじんわりとした快感が広がり、静まるはずの体が再び熱を持つ予兆を感じさせた。
「はあ……すごかったな……」
「うん……僕も、気持ち良かったよ……」
リンハルトはカスパルの首筋に顔を埋めて深呼吸する。汗ばんだ肌からは甘い匂いが立ち込めていて、その香りを吸い込むだけで下腹部が再び熱を帯びていくのを感じた。
――まだ足りない。
そんな思いが自然と湧き上がるが、流石にこれ以上続けるのは明日に響くだろう。
そう思い直したリンハルトはカスパルから身を離そうとしたが、腰に回された腕によってそれは阻止されてしまった。
「カスパル?」
「ん……もう少しこうしてようぜ」
カスパルはリンハルトの体を引き寄せ、脚を絡めて密着してくる。肌と肌が密着する感触に再び興奮を呼び起こされそうになるが、これ以上は歯止めが利かなくなる気がしてリンハルトは躊躇った。
そんな気持ちを知ってか知らずか、カスパルは更に強く体を押し付けてくる。
「ねえ、カスパル……ちょっと、まずいかも」
「ん? なんでだよ」
「いや、その……このままだと我慢できなくなりそうで……」
リンハルトは正直に自分の気持ちを伝える。それを聞いたカスパルは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑みを浮かべてリンハルトの頭を抱えるようにして引き寄せた。
「我慢なんかしなくてもいいだろ? オレはもっとお前とくっついてたいし……」
そう言ってなおのこと強く体を押し付けてくるものだからたまらない。肌はぴっとりと密着して互いの体温が直接伝わり合い、触れ合う乳首や太腿の感触が快感となって駆け巡る。
「もう、だめだよ……君だって明日は調練があるでしょ? いまは体力も落ちてるんだから、無理をしたら体に障る……」
「もうちょっとだけだって……」
カスパルはリンハルトの制止も聞かずに再び腰を動かし始めた。蜜に濡れた花弁が擦れ合い、くちゅくちゅと淫らな水音が響く。
一度絶頂を迎えたことにより感度が増しているリンハルトは、たったそれだけのことで甘い吐息を漏らしてしまった。
「んっ……ふ……もう……」
「へへ……いいだろ?」
カスパルはリンハルトの顔を覗き込んで悪戯っぽく笑う。
「まったく……」
リンハルトは観念したように溜息を吐く。
カスパルが望むのなら、自分だってそれに応えたい。それに自分もまだまだカスパルと触れ合っていたいし、もっと彼の温もりを感じたかった。
「そう、だね……僕も、もっと君に触れたいな」
リンハルトは微笑みを返すと、自らカスパルに唇を重ねる。
そうして二人は互いの体温を感じ合いながら、何度も何度も絶頂を迎えたのだった。
翌朝、リンハルトは寝息を立てるカスパルの隣で目を覚ました。どうやら行為の後そのまま眠ってしまったらしく、服も着ないまま熟睡していたようだ。
「ん……朝か……?」
「おはよう、カスパル」
眠そうに目を擦るカスパルに微笑みかけると、彼もまた笑顔を浮かべてリンハルトの胸に顔を埋めた。甘えるような仕草が可愛らしくて頭を撫でれば、カスパルは嬉しそうに顔を擦り寄せてくる。
平時であればカスパルがリンハルトより後に目覚めることはほぼないが、行為の後に限っては寝起きが悪いことが多い。今回も例に漏れず、リンハルトの胸の中でうとうととしている。
「朝飯……食わねえとな……」
カスパルはもそもそと寝台から這い出ようとするが、すぐに力尽きたように脱力してしまう。どうやらまだ完全には目覚めていないようだ。
「まだ眠いんでしょ? もう少しだけ休んでいこうよ」
「んー……けどよぉ……」
カスパルは不満げに頬を膨らませながらリンハルトを見上げる。
眠気のせいでとろんとした眼差しからはいつもの凛々しさが欠片も感じられず、その可愛らしさにリンハルトは思わず笑みを零した。
「調練は昼からだよね? それまで一緒にゆっくりしようよ」
リンハルトは乳房を押し当てるようにしてカスパルを抱き寄せる。
カスパルは素直にされるがままに、リンハルトに体を預けてきた。
「ん……そうだな……」
小さく頷いて瞼を閉じる恋人の髪を優しく撫でると、カスパルは気持ちよさそうに目を細めてリンハルトの胸に顔を埋める。
程なくして規則正しい寝息が聞こえ始め、リンハルトはゆっくりと彼の体を寝台に横たえた。そして自分もまた毛布を被ると、幸せそうに眠るカスパルの隣で目を閉じた。
3
「うーん、やっぱり筋肉が落ちてるよねえ」
揉むたびにふにゅふにゅと形を変える柔らかい膨らみを眺めながら、リンハルトは不可解そうに首を傾げる。
その膨らみの持ち主であるカスパルもまた、首を傾げる幼なじみを眺めながら自身も首を傾げていた。
コンスタンツェの魔法の暴走によってリンハルトとカスパルが女性の体になってしまってから数日――いつもとは異なる姿の恋人への純粋な興味と共に、この不可思議な現象の研究対象としての興味もリンハルトの好奇心をくすぐっていた。
「そりゃあ、女になってるんだから仕方ねえだろ? 男のときとは体の構造が違うんだろうし」
リンハルトの好きなようにさせていたカスパルは、自分の胸を肌着越しに観察する幼なじみの細くなった手を見下ろす。
もともと中性的な容姿のリンハルトは、女性の体になってもカスパルほど顕著な変化は見受けられなかった。それでも体の細さや皮膚の柔らかさは男性のそれとは異なり、肌に触れるリンハルトの手への違和感にカスパルは落ち着かない気分になってしまう。
「女性でも鍛えている人はもっと胸筋が発達してるでしょ。君はもともと脂肪の量が少ないし、男性時の肉体が女性時の肉体に反映されるなら、こんなにふにふにはしてないはずなんだけど……どういう基準で女性の体が形成されているんだろう?」
「いや、オレに聞かれてもわかんねえって」
リンハルトに胸を揉まれていると変な気持ちになりそうで、カスパルはさりげなくその手を掴んで止めさせる。
この「変な気持ち」の正体が性的興奮であることにカスパルは薄々気づいていた。胸に触れられている間ずっと感じていたそわそわとした落ち着かない感覚は、性欲を刺激されて体が昂っていたからなのだ。
性的な知識も経験も乏しいカスパルは最初こそその感覚が何なのかわからなかったが、リンハルトと褥を共にするようになってから少しづつ自覚し始めている。
しかし、まだその衝動をうまく発散することも看過することもできないカスパルにとって、「変な気持ち」になってしまうことはあまり好ましいと言える状態ではなかった。
「……カスパル、そわそわしてるね。僕に触れられていやらしい気分になったのかな?」
「へっ!? ばっ、なん……!?」
図星を突かれ、カスパルの顔が一瞬で赤くなる。
その反応にリンハルトは嬉しそうに目を細めた。
「恥ずかしがらなくていいんだよ。恋人同士なんだからね。僕としてはもっと求めてくれてもいいと思ってるくらいだ」
「う……いや、そうだけどよ。でも、いまはいつもと状況が違うだろ? 女の体だと、なにをどうすりゃいいかもわかんねえし……」
カスパルは気恥ずかしさから目を逸らし、「恋人同士」という言葉のむず痒さに頬を掻く。
リンハルトはその手をそっと握って、カスパルをまっすぐに見つめた。
「僕はもっと君に触れたいな」
「っ……!」
リンハルトの真摯な瞳と、やわらかい声と、握られた手の温かさにカスパルは息を呑む。
長い時を親友として過ごしてきたリンハルトの情愛に満ちた言葉は、カスパルにとって未だ慣れるものではなかった。その言葉を否定する気は毛頭ないが、かといって肯定するのも気恥ずかしいため、カスパルはいつも反応に困って言葉を詰まらせてしまうのだ。
「君の体の変化も興味深いけど、僕は君自身のことももっとよく知りたいんだ」
「オレの……こと」
「そう。君がどんな風に感じていて、何を望んでいるのか……僕に教えてほしいな」
リンハルトはひとまわり小さくなった幼なじみの指に自分の指を絡めて、その感触を楽しみつつ言葉を続ける。
「僕が君を求めるのに、君の性別なんて関係ないんだ。君の心も体もまるごと愛しているんだってこと……ちゃんと伝わってるかな?」
リンハルトの濃紺の瞳に熱っぽく見つめられて、カスパルの心臓が大きく跳ねた。
自分と同じ、軍から支給された石鹸を使っているはずなのに、リンハルトから漂う匂いはカスパルのものとは異なっている。緑がかった黒髪が揺れるたびにふわりと香るその匂いは、カスパルをひどく安心させると同時に形容しがたい気分にもさせた。
「好きだよ、カスパル」
耳元で囁かれ、リンハルトの唇が耳に触れる。そのくすぐったさにカスパルは思わず目を瞑った。
いつもこうなのだ。リンハルトはカスパルの微細な変化を察知すると、甘い言葉と態度でカスパルの心を蕩けさせ、そのままなし崩しのように体を重ねることになる。
いいように転がされている気がしなくもないが、行為の始め方がわからないカスパルにとって、リンハルトの誘導はありがたいものではあった。
「んっ……」
リンハルトの唇が赤く染まったカスパルの耳朶を食む。カスパルの背筋にぞわりとした感覚が走り抜け、思わず鼻から抜けるような声が漏れた。
「ふふ、耳弱いんだ……可愛いね」
熱っぽい声に囁かれるたび、カスパルは頭の奥がくらくらとして何も考えられなくなってしまう。体の芯が熱くなるような未知の感覚に不安を覚えて、縋るようにリンハルトの背中に手を回した。
「……寝台に行こうか?」
リンハルトに囁かれ、カスパルは小さく頷く。
ほんの数歩離れた位置にあった寝台に移動すると、リンハルトはカスパルを横たえて手早く衣服を脱がしていった。
肌着をたくし上げる際に生地が胸にひっかかり、半ば強引にそれを外すとひっぱられた乳房がぷるりと揺れる。露になった先端は薄桃色に色づいており、リンハルトの視線を浴びて少し硬くなったようだった。
リンハルトの視線を体の上に感じて、カスパルはたまらず熱い息を吐く。
カスパルはまだいまの自分の姿に慣れていなかった。まるで他人の体のような気がしてしまい、それをまじまじと眺められるのも気恥ずかしいのだ。
しかし、リンハルトは構わず上から下までをゆっくりと慈しむように視線で撫でてゆく。
「いまの姿も可愛いなあ……君の全部が愛しいよ」
リンハルトは微笑み、その唇を額から瞼、鼻へと落としていく。触れるだけの口付けの雨を降らせながら、頬や首筋を何度も撫でさすり、丸みを帯びたカスパルの体をなぞるようにその肌の感触を慈しんだ。
「普段の君の逞しい体も魅力的だけど、いまの姿もとっても綺麗だよ。この体も全部味わいたくて……待ちきれないんだ」
「……っ」
直截に欲求を伝えられ、カスパルの全身がかあっと熱くなる。
リンハルトから与えられる甘い刺激の心地よさを知っている体は、穏やかに告げられるその言葉にも反応してじくじくと熱を持ち始めていた。
リンハルトは襯衣の合わせを外し、肩から滑り落とすようにして衣服を脱いでゆく。細い肩と白い肌、そして控えめに揺れるふたつの膨らみが露わになり、カスパルは思わず視線を逸らした。
「なんか、まだ慣れねえな……リンハルトじゃないみたいな感じがしちまって」
「そうかい? 僕は僕だよ」
リンハルトはカスパルの手を取って自分の胸に導く。その膨らみに触れた瞬間、掌に感じる柔らかい感触と体温が生々しく伝わってきてカスパルは息を呑んだ。
「ほら……ちゃんと僕だよ」
「お、おう……」
リンハルトの肌の感触を味わいながら、カスパルはその体に手を這わせる。細い肩と薄い胸板から続くなだらかな腰回り、そして丸みを帯びた臀部をおそるおそるなぞった。
その掌の感触がこそばゆいのか、ときおりリンハルトは「んっ」と小さく喘いでぴくりと体を跳ねさせる。
「僕の体、ちゃんと触って……君を感じさせてほしいな」
リンハルトは腰を少し上げてカスパルの手を取り、その指を自分の秘所へと導く。そこは僅かに潤みを帯びており、軽く触れただけでくちゅりと水音を立てた。
「あっ……」
指に絡みつく濡れた感触にカスパルの背筋がぞくりと震える。しかし、それ以上この指をどうすればいいのかわからず、カスパルは戸惑いながらリンハルトを見上げた。
「ふふっ、カスパルにはまだ早かったかな?」
所在なさげに眉根を寄せるカスパルを宥めるように、リンハルトはその頭を撫でながら額に口づける。
「ちょっとずつ覚えていこうか。今日は僕が全部してあげるから……大丈夫だよ」
「う、わかった……」
カスパルはこくりと頷いて、リンハルトの愛撫に身を任せることにした。
リンハルトは啄むような口付けを落としつつ、カスパルの胸に手を伸ばして張りのある乳房を掌で優しく包み込んだ。先ほどまでの検分するような手つきではなく、明らかに愛撫を目的とした触れ方にカスパルの体温が徐々に上がってゆく。
「ふっ……」
リンハルトの指先がカスパルの胸の突起を転がし、ときおりひっぱっては悪戯に刺激を与える。するとそれはすぐに赤く腫れて立ち上がり、更なる愛撫をねだるように芯を持った。
「……可愛いね」
「っ……」
耳元で囁かれる言葉に反応して、カスパルの体が更に熱くなっていく。リンハルトはその反応を楽しむように執拗に胸を揉みしだき、立ち上がった突起を摘んでくにくにと弄んだ。
「っ、ん……ぁ、りっ……」
カスパルの頭の中は次第に霞みがかっていき、体から力が抜けていく。リンハルトの熱っぽい囁きはカスパルの思考を少しづつ蕩けさせ、媚薬のようにその体を昂らせていった。
「可愛いよ、カスパル」
リンハルトはうっとりとした声音でそう囁くと、カスパルの胸に顔を寄せて赤く腫れ上がった突起を口に含む。ざらつく舌の感触に背を震わせながら、カスパルは鼻から抜けるような甘ったるい吐息を漏らした。
「声、我慢しないで……」
「っ、ぁ……ん……!」
ちゅ、ちゅ、と音を立てながら先端に吸い付き、もう片方は下側から持ち上げるようにして揉みしだく。指で弾力を確かめながら小さな蕾をこねてはひっぱると、カスパルはおもしろいように体を震わせた。
「ふぁっ、く、う」
「気持ちいい?」
「んんっ……っ!」
リンハルトは円を描くように乳輪をくるりと指でなぞり、それから膨らみの先端をきゅうと摘み上げる。カスパルは少し痛いくらいの刺激を好むようで、強めにそこを捻るたびに背中をびくりとしならせた。
「可愛いね……もっと声、聞かせて」
「あっ、あ……んっ、り……リンハルト……あッ……あぁ!」
固くしこった先端を強く吸い上げると、カスパルは背中を浮かせて身悶える。もう片方も忘れずに指の腹で押し潰し、ときおり指先でくじいては強くひっぱって刺激を与え続けた。
「や、リンハルト……それ、あっ!」
カスパルはリンハルトの太腿に腰を押し付けながら悶え、秘所からはじわりと温かな蜜を滲ませている。
カスパルの腰が揺れているのを肌で感じたリンハルトは、脚を軽く動かして自身の太腿に触れているカスパルの秘所をやんわりと擦った。
舌先で先端を転がし、爪の先で弾き、二本の指で挟んでくりくりとねじる。ありとあらゆる方法で弄ばれた二つの膨らみは唾液に濡れそぼり、リンハルトの指の中で形を変えていった。
「んぁッ! あぅ……っ」
「ん……」
ちゅぱっと音を立てて口を離すと、すっかり蕩けきった表情で荒い息をついているカスパルと視線が合った。赤く色付いた胸の先端は固く立ち上がり、唾液でぬらぬらと光っている。
「あ……っ、ん、リンハルト……も……下も」
触ってほしい、と暗にねだりながらそろそろと股間を押し付けてくるカスパルの姿に、リンハルトはごくりと喉を鳴らした。
「下も……なに?」
カスパルの望むまま気持ちよくしてあげたいという気持ちと、もっと焦らしてみたいという衝動がリンハルトの中でぶつかり合う。
カスパルは頰を真っ赤に染めながらリンハルトを見上げ、訴えるような視線を向けてきた。
「だから、その……してくれよ」
「してって、何を?」
リンハルトは意地悪く問いかけながら、すっかり濡れそぼったカスパルの割れ目をつうと指でなぞり上げる。カスパルのそこはもう充分すぎるほど熟れていて、触れられる度に熱い蜜を溢れさせた。
「ほら……どうしてほしい?」
「んぁっ!」
つんと膨れ上がった花芯を指でつつき、焦らすようにその周囲をくるりとなぞる。カスパルはそれだけで上擦った声を漏らし、リンハルトの指に自身のそこを押し付けて更なる愛撫をねだった。
「あッ! あ、そこっ……もっ……もっと……」
「もっと?」
「んっ……あッ! あっ、あぁっ!」
リンハルトは人差し指と親指で芯を持った芽を摘み、くにくにと転がして弄ぶ。カスパルは待ち望んでいた刺激に腰を跳ねさせ、口の端から唾液を零しながら高い声で喘いだ。
「気持ちいい?」
「ん、んっ……きもちいっ……」
「ふふ……じゃあ、もっと気持ちよくしてあげるね」
リンハルトはカスパルの脚の間に顔を埋め、赤く充血した陰核を口に含んだ。指とは違った柔らかく熱い感触にカスパルは腰を浮かせ、「ひっ!?」と短い悲鳴をあげる。
膨らんだそれを唇で挟み、舌を出してくすぐるように舐め上げ、ちゅうっと吸い付いては前歯で甘く噛む。押し寄せる快感の波にカスパルは腰を浮かせて身悶え、敷き布をくしゃりと掴んではいやいやと首を振った。
「あぁっ! あ、んぁっ、はっ……あぁっ!」
ぬるりとした舌での愛撫は強烈すぎるほどの快感となってカスパルの体を駆け巡った。ざらついた舌が敏感な部分に触れるだけで目の前がちかちかとするほどの刺激に襲われ、頭の中が真っ白になっていく。
「あぁっ! それ、はっ……あッ、あっ!」
リンハルトは指で陰核の皮を剥き、露わになった粘膜を舌でねっとりと舐め上げる。それから蜜に濡れた膣口に吸い付き、ちゅるりと音を立てて吸い上げた。カスパルの腰がびくんと跳ね上がり、口からはひっきりなしに嬌声が零れる。
「やっ! あッ、あぁっ! だめっ……もっ……ああぁぁっ!」
カスパルは背中をしならせ、喉を仰け反らせて絶頂を迎えた。リンハルトの口に股間を押し付けながらびくん、びくんと何度か大きく痙攣したあと、弛緩した体がくたりと寝台に沈み込む。
「っ……ぁ」
ちゅ、と小さな音を立てて唇を離したリンハルトは、とろんと蕩けきったカスパルの表情を見下ろして目を細めた。まだ絶頂の余韻が残っているのか、カスパルはときおり体を小さく震わせている。
「カスパル……すごく可愛かったよ」
リンハルトは汗ばんで額に張り付いたカスパルの前髪を指で払ってやり、その目元に口づけを落とした。
快感で滲んだ涙を舐め取り、そのまま頰に口付ける。それから鼻や耳にも口付けを落としていき、最後にそっと唇に吸い付いた。
「指、入れても大丈夫かな? 怖い? 嫌ならここには触れないよ」
リンハルトはカスパルの脚の間に手を伸ばし、すっかり濡れそぼった割れ目に指を這わせる。達したばかりのそこはひくひくと痙攣しており、少し触れただけでも新たな蜜が溢れてきた。
「ちょっとおっかねえけど……嫌、じゃねえ……もっと……」
「うん……ゆっくりやるね」
リンハルトは熱く濡れた割れ目に指を押し当て、やんわりと襞を割り開いた。途端に中に溜まっていた愛液がとぷりと溢れ出し、リンハルトの指を熱い体液が包み込む。
「あっ、はぁ……」
「痛い?」
「ん……平気だ」
リンハルトは慎重に指を押し進め、内側の壁を傷つけないようにゆっくりと中を広げていく。カスパルは異物感に眉を寄せていたが、リンハルトの指の動きが止まると自ら腰を揺らして続きをねだった。
「あッ……あぅ、んっ!」
リンハルトはカスパルが望むままに指を抜き差しし、蜜を絡めては内壁を優しく撫で上げる。カスパルのそこはリンハルトの指の形に広がり、抽挿するたびにぐぷぐぷといやらしい水音を立てた。
「はぁ……リンハルト、もっと……」
「うん……好きなだけしてあげるね」
リンハルトは指を増やしてカスパルの中を更に押し広げていく。
くちゅくちゅと音を立てて抜き差しを繰り返すと、カスパルは熱い吐息と共に腰を揺らし始めた。ゆっくりと奥まで進み、中を広げるようにぐるりと指を動かせば、甘えるような声が喉の奥から溢れてくる。
「気持ちいい?」
「んっ、あっ……あぁッ……」
一度火の付いた体はすぐに燃え上がり、カスパルの理性をどろどろに溶かしてゆく。
リンハルトは指を出し入れしながら、膨らんだ花芯を親指でくりくりと押し潰した。途端にカスパルの体がびくんと跳ね上がり、リンハルトの指を咥えた膣内がきゅうっと締まる。
「あッ! あぁっ、あっ!」
くにくにと花芯を揉みながら、指を出し入れする速度を徐々に速めていく。カスパルは腰をがくがくと震わせながら、リンハルトの指の動きに合わせて甘く蕩けきった声を漏らした。
「あっ、あッ……あぁっ! あぅ……っ」
「ふふ、可愛いね……」
リンハルトはカスパルの頰に口付けを落とし、中を広げるように二本の指でぐるりと円を描く。同時に花芯をきゅっと摘み上げると、カスパルは背中をしならせて秘所からぷしゃっと透明な液体を吹き出した。
「あ、あっ……あぁっ! ああぁぁっ!」
がくん、がくんとカスパルの腰が跳ね上がり、熱い飛沫が迸る。
カスパルの体内が指に絡みつく感覚と、生ぬるい体液が自身の手を濡らす感覚――それらに劣情を刺激されたリンハルトの太腿を、溢れ出した愛液が伝い落ちた。リンハルトの秘所もまたカスパルの痴態によって濡れそぼり、直接的な刺激を求めてひくついている。
「はぁっ……はっ……」
荒い呼吸を繰り返すカスパルの中から指を引き抜くと、その刺激にもカスパルは「んっ」と小さな声を漏らした。カスパルの股座は愛液と潮で濡れそぼり、膣から溢れ出した体液が後孔までをも濡らしている。
リンハルトはぐったりと弛緩したカスパルの額に唇を寄せ、そのまま頰や首筋にも同じように口付けを落としていく。
くすぐったそうに身を捩るカスパルの体を抱え直し、開かせた脚の間に自身の体を割り込ませると、これから何をされるのか察したカスパルが期待に頰を染めてリンハルトの首に腕を回した。
「一緒に気持ちよくなろうか」
「んっ……」
リンハルトは熱い吐息と共にカスパルの耳朶を食み、熱を持った自身の陰核をカスパルの膣口に押し当てた。くちゅりと濡れた音を立てて触れ合う二つの性器の熱さに、カスパルはこくりと喉を鳴らす。
カスパルが小さく頷くのと同時に、リンハルトはゆっくりと腰を動かし始めた。
しこった陰核でカスパルの膣口を擦り、その上にある小さな突起をぐりぐりと押し潰す。敏感な部分を濡れた襞に包み込まれる感覚は、まるでカスパルの中に入っているかのようだった。
「ん……っ、あッ……」
「はぁ……っ」
リンハルトの陰核がカスパルの割れ目を往復する度に、二人の愛液が混じり合ってぐちゅぐちゅと音を立てる。お互いの一番感じる部分をぴったりと重ね合わせて擦り上げると、たまらない快感が背筋を走り抜けていく。
「あっ、あぁッ……リンハルト……っ!」
カスパルは無意識のうちに腰を揺らし、リンハルトの動きに合わせて秘裂を押し付けていた。その刺激に反応するように、リンハルトの陰核も更に大きく膨れ上がる。
「リ、リンハルトぉ……もっと欲しい……」
「んっ……いいよ。僕も君が欲しいな……」
カスパルは瞳に涙を浮かべてリンハルトを見つめた。
リンハルトが腰を揺らす度に、二人の胸の先端が触れ合っては離れを繰り返す。その度に甘い痺れにも似た快感が生まれ、二人の脳をどろどろに溶かしていった。
「あッ! あぅッ! リンハルトっ!」
「カスパル……っ」
カスパルの口から漏れる声はもう意味を持たない言葉ばかりだった。
それでも必死にリンハルトに応えようとしがみつく姿が愛おしく、リンハルトは一層強く腰を揺すった。愛液と潮で濡れた秘裂同士が擦れ合い、溢れた蜜が二人の間で泡を立てる。
「はぁっ……カスパル……っ!」
「あッ、あぁッ! リンハルト……っ!」
二人の間で押し潰された陰核がぐりゅっと擦れ、濡れた秘裂がぶつかり合って愛液が飛び散る。二人の体の間で押し潰されている陰核も、膣口を擦るように浅く穿たれているカスパルの蜜穴も、どちらも熱く蕩けて限界が近いことを訴えていた。
「リンハルト……っ!」
カスパルは必死に手を伸ばしてリンハルトを抱き寄せる。その拍子に二人の胸の先端が擦れ合い、弾力のあるその感触にリンハルトは熱を孕んだ吐息を漏らした。
限界を訴えるようにカスパルの脚がリンハルトの腰に回され、互いの陰核と秘裂がぴったりと合わさる。やわらかい粘膜同士が溶け合って二人の境界が曖昧になるような感覚は、男性同士での交合とは異なる快感をもたらした。
「カスパル……好きだよ」
「っ……!」
濡れた襞同士を擦り合わせながら、リンハルトはカスパルの耳元に唇を寄せて囁く。その瞬間、カスパルの体が激しく跳ね上がり、熱い飛沫が二人の股間を濡らした。
「あ……っ、あ……」
二人の体の間でぷしゃああと潮を吹き上げながら、カスパルは小刻みに体を震わせる。自身の股座を生温い体液が濡らす感覚に目を細めながら、リンハルトは更に強くカスパルを抱き寄せた。
「はぁ……っ、カスパル……」
リンハルトは熱い吐息と共にカスパルの名を呼び、昂った体を落ち着かせるように何度か呼吸を繰り返す。
このまま愛撫を続けて自身の快楽を追いたい気もするが、いまのカスパルに更なる刺激を与えるのは酷というものだろう。
リンハルトは名残を惜しみながらもカスパルから体を離した。粘着質な音を立てながら愛液が糸を引き、二人の股座を繋いでいる。
「あっ……やめちまうのか?」
寂しげに秘裂をひくつかせたカスパルは、縋るような視線をリンハルトに向けた。既に何度か達しているというのに、不満そうな表情を浮かべるカスパルにリンハルトは苦笑を浮かべる。
「うん……これ以上は駄目だよ。カスパルも疲れたでしょ?」
リンハルトは慰撫するような手つきでカスパルの頭を撫でる。汗に濡れた髪が肌に張り付き、指に絡みつく感触が心地よかった。
「でも、お前はまだなんじゃねえのか? オレはまだいけるぜ」
リンハルトの気遣いに気付いているのかいないのか、カスパルは唇を尖らせて不満を訴える。
どうやら、カスパルが不満なのはリンハルトが達していないことのようだった。余裕がないようでしっかりと相手のことは観察しているカスパルに、リンハルトはまた苦笑を浮かべる。
「僕はいいよ。君が気持ちよくなってくれたならそれで嬉しいんだ」
「別に疲れたわけじゃねえよ……オレだって、まだリンハルトと……」
どこか悔しそうなカスパルの表情といじらしい言葉に、おさまりかけていた劣情がふつふつと再燃してくるのをリンハルトは感じていた。それでもリンハルトは行為を続行する気はなく、時間と共に劣情が凪ぐのを待つつもりでいる。
「でもカスパル、明日……というかもう今日か、今日は朝から訓練だったよね? だったらそろそろ休まないと」
リンハルトはカスパルの額に自分のそれを合わせ、至近距離で視線を合わせた。快感に潤んだ空色の瞳がリンハルトを捉え、切なげな吐息が吐き出される。
性行為の際、カスパルは自身の限界をうまく把握できていないようなのだ。
この傾向は学生時代も戦場で見受けられたが、戦場慣れしていくるうちになりを潜めた。だから、性行為におけるこれも慣れれば把握できるようになるのだろう。
「まだ大丈夫だって」
「だめだよ。ほら」
リンハルトは諫めながらそう呟くと、カスパルの頰に口付けを落とした。そのまま唇同士を重ね合わせ、ちゅっと音を立てて離れてから微笑む。
「続きはまた今度ね」
「……おう」
少し不満そうな表情を浮かべつつも素直に頷いたカスパルに、リンハルトは再びあやすような口付けを落とした。
行き場を失った熱は数分のあいだリンハルトの体を火照らせたが、やがてそれも薙ぐように静まり、二人は穏やかな眠りに落ちていった。
男性時よりいくらか丸みがあるカスパルの寝顔は、それでもリンハルトのよく知るカスパルのものだった。リンハルトはその寝顔を眺めながら「好きだなあ」と確認するように呟く。
その言葉がいまのカスパルの耳に届くことはないだろうが、伝えたいのであれぱまた言えばいいだけのことだ。カスパルが自分の隣にいる限り、いくらでも気持ちを伝えることはできるのだから。
かつては当たり前だったその幸せがいまもまだ在ることに感謝しながら、リンハルトはもう一度カスパルの額に口付けを落とした。