歌姫の戯れ
ドロテアの綺麗な指が、ちょん、と亀頭の先端に触れては離れてゆく。ときおり尿道を爪先でくじいては、ぴくんと反応するカスパルを見てくすりと笑う。
そんなもどかしい愛撫を執拗に続けられていた。
カスパルの性器はすでに痛いほど張り詰めている。先端からはとめどなく先走りが流れ出ていて、それが亀頭に塗りたくられているせいでぬるぬるとよく滑った。
気持ちいいけれど物足りない。イキたいけどイケない。あと少し刺激を加えれば射精できるはずなのに――その絶妙な加減を見極めるようにして、ドロテアは焦らし続けている。
「ドロテアっ……」
カスパルは耐え切れず、ドロテアにねだるような視線を向ける。
「そういう遊び」の一環として、カスパルの両手首は後ろ手で縛られた状態だった。衣服もほとんど着用したまま、胸と性器だけを露出した状態で寝台に腰をかけている。
「だーめ。まだ我慢してね?」
カスパルの背中に豊満な胸を押し付ながら悪戯をしていたドロテアは、カスパルの乳首をくりくりと捏ねながら耳元で囁く。
指先でくるりと乳輪の膨らみをなぞり、ぷくっと膨らんだ小さな先端を指の腹で押し込む。赤く熟れたそれを指で挟んできゅっと摘み上げると、カスパルの口から堪えきれなくなった嬌声が漏れた。
「ふふっ、カスパルくんっておっぱい弄られるの好きよね♡ こんなに硬くしちゃって……また大きくなったわよ?」
「うぁっ! あ、ああっ……!」
ドロテアは爪先でカスパルの乳首をひっかきながら、もう片方の手で屹立した性器を扱き上げる。二箇所から同時に与えられる快感に、カスパルは喉を逸らして情けない悲鳴をあげた。
いつからこんな関係になったのだったか――訓練か何かで勃起してしまっているのをドロテアに発見され、なし崩しに抜かれてしまったのがきっかけだったような気がする。
よく考えれば、あれは強姦とまでは行かなくとも何かの犯罪になるのではないかとカスパルは思うが、いまとなっては過ぎた話だった。
ドロテアはカスパルの陰嚢を下から持ち上げるようにして揉み込んだかと思うと、今度は裏筋を強く擦ってくる。ぞくりとした感覚が背骨を走り抜け、カスパルは喘ぎながら大きく身体を震わせた。
「ああッ! やめろっ、そこはダメだって……!」
カスパルの反応を楽しむように、ドロテアの手の動きが激しくなる。
指で作った輪で雁首をひっかけるようにして上下させつつ、もう一方の手で亀頭を責め立てる。敏感な部分への絶え間のない刺激に、カスパルの理性はぐずぐずに溶けていった。
「ドロテアっ、もう無理だっ……」
「ふふっ、可愛くおねだりできたらイカせてあげようかな? ほぉら、がんばれ♡ がんばれ♡」
ドロテアはカスパルの耳に唇を寄せ、甘く蕩けるような声でささやく。同時に親指で鈴口を虐められ、カスパルは射精感に身震いをした。
「ひぅ……! 早くっ……頼むからっ……!」
雁の裏側を指先でひっかかれ、カスパルの身体がビクビクと震える。いいところを的確に刺激してくるのにイかせてはもらえず、あまりの苦しさに目尻には涙が浮かんでいた。
「もう、違うでしょ? ほら、ちゃんと『お姉ちゃん』にお願いしてみて?」
ドロテアの手淫はさらに激しくなっていく。竿の部分を強めに扱かれたかと思うと、今度は雁首を中心に集中的に攻めてくる。緩急をつけた巧みな動きに翻弄され、カスパルはもはや限界だった。
「うう……おねえ、ちゃん、イきたいっ……」
カスパルは要求された言葉を歯切れ悪く口にする。
いつかドロテアにせがまれて「一度だけ」という約束で呼んだその呼称を、ドロテアはいたく気に入ったらしい。一度だけという約束が守られることはなく、ドロテアはときおりこうしてその呼称をカスパルに使わせる。
「あら、それじゃあよく聞こえないわ。もっと大きな声で言ってくれないと」
「……っ、お姉ちゃん、イきたいです……お願いしますっ……!」
羞恥心などもはや消し飛んでいた。とにかく早く楽になりたい一心で、カスパルは半泣きでドロテアに懇願する。
「ふふっ、よくできました♡ いい子にはご褒美をあげないとね♡」
ドロテアはカスパルの性器をぎゅっと握ると、搾乳するように手を動かし始めた。そしてもう片方の手では乳首を摘まんだり引っ掻いたりしながら、ときおり思い出したかのように強く押し潰す。
「んっ、ああぁっ! むね、やめてくれっ……」
ドロテアの手を振り払うようにカスパルは身を捩る。ドロテアの愛撫が巧みで気持ちいいのは確かなのだが、胸を弄られるのは男として大切な何かを失っていくようでどうにも苦手だった。
「可愛い声でそんなこと言ってもおねだりしてるようにしか聞こえないわよ? カスパルくんはおっぱいとおちんちんの両方を一緒に弄られるのがいちばん好きだものねえ。いっぱい虐めてあげるからね♡」
「うぁ、あっ! だめだっ、出るっ……!」
カスパルの限界を察したのか、ドロテアは手のひら全体で性器を包み込んで一気に扱く速度を上げた。射精を促す激しい愛撫に、カスパルは為す術もなく絶頂へと押し上げられてしまう。
「ふふっ、たくさん出たわね♡ ひょっとして溜まってた?」
ドロテアはカスパルの性器から手を離すと、白濁が絡みついた指を目の前で見せつけるように舐めあげた。恥ずかしがって顔を背けるカスパルをよそに、ドロテアはさらに行為を続ける。
「今度はここで気持ちよくさせてあげるわね♡」
ここ、と言いながらドロテアが触れたのはカスパルの後孔だった。カスパルの体が驚きに跳ね、怯えた水色の瞳がドロテアに向けられる。
カスパルはいたって健全な性嗜好の持ち主であり、そこを排泄以外の目的で使用したことはない。
戦場であれば男同士で……という話は珍しくもないし、カスパル自身も何度か同性に言い寄られたことはある。とはいえそれを受け入れたことはなく、カスパルにとってそこはまったく未知の領域だった。
「大丈夫よ。力を抜いてちょうだいね」
ドロテアはカスパルを安心させるように微笑むと、手に取った香油を窄まった後孔へ塗り始めた。たっぷりと潤滑剤を含んだ中指が、つぷっと音を立てて未開の穴へと挿入される。
「う……くっ……!」
本来受け入れる器官ではない場所への挿入に、カスパルは眉根を寄せて不快感を示した。ドロテアの華奢な指一本で痛みを感じることはなかったが、そこを広げられる違和感に太腿が震えてしまう。
「苦しい? でもすぐに慣れるわ」
ドロテアは慎重にカスパルの内部を探っていく。指先を軽く折り曲げたり、ぐるりと円を描くように動かしたりするたびに、カスパルは小さく声を漏らした。
「ふぅっ……ん、ううっ……」
やがて二本目の指が挿入され、さらに奥深くまで入り込んできたところで、ドロテアの指が内壁のある部分をぐりっと押し込む。
「ひっ!?」
突然の強い刺激にカスパルは大きく目を見開いた。今まで感じていた圧迫感とは異なる、ぞわりとした感覚が全身を襲う。
「あ、あぁっ! そこ、やめろぉ……!」
「ふふっ、カスパルくんのいいところみーつけた♡」
ドロテアはカスパルの反応に笑みを浮かべると、その一点を集中的に責め立てた。
指の腹で押し潰したり、掠める程度に撫でてやったり、緩急をつけてそこを刺激する。曲げた関節にそこをひっかけながら指を引き抜くと、カスパルはひときわ大きな嬌声を上げた。
「やだ、やだっ! ああああッ!」
身体の奥底から湧き上がる未知の快感に恐怖を覚え、カスパルは悲鳴じみた声をあげる。ドロテアの手は止まるどころかますます激しさを増していき、容赦なく前立腺を押し潰してきた。
「ひぅ! ああぁッ……! やあっ……」
「ふふっ、可愛いわね。お尻の穴きゅんきゅんさせちゃって」
カスパルは腰を引いて逃れようとするが、ドロテアはそれを許さなかった。片手でカスパルの腰をがっちりと押さえつけ、空いた手で執拗に後孔を責め続ける。
「カスパルくん気づいてる? お尻の穴いじられておちんちん大きくなってるわよ?」
「え? う、嘘だ……」
カスパルは自分の下半身に目をやる。ドロテアの言葉通り、彼の陰茎は再び硬度を取り戻していた。
「うふふ、男の子なのにお尻に入れられて感じるなんてとんだ変態さんね」
「ち、違う……! これは、その……」
「はいはい、言い訳はいいから。いまはお姉ちゃんに身を任せなさい」
ドロテアは三本目の指を挿入すると、カスパルの前立腺を指の腹で転がすように刺激する。更には空いた方の手で戸渡りを圧迫し、内側と外側からそこを責め立てた。
「やぁっ、あっ! ああぁっ!」
「ね、女の子みたいに後ろだけでイッちゃおうか?」
耳元で囁かれてカスパルはびくりと体を震わせる。同時に中のしこりを強く押し込まれ、あまりの快楽に視界が真っ白に染まった。
「ひぁ、ああぁっ! イクっ! イくうぅっ……!」
カスパルは喉を仰け反らせながら絶頂を迎えた。体は痙攣するように震えているものの、性器からは何も出ていない。男にも射精を伴わない絶頂があることを、カスパルはこのとき初めて知った。
「ふふっ、空イキしちゃったのね。可愛い♡」
ドロテアはカスパルの額にちゅっと口づけを落としてから指を引き抜く。質量を失ったそこがひくんと疼くのがわかり、カスパルはいたたまれない気分になってしまった。
ようやく終わった責め苦にカスパルの体からは力が抜け、ぐったりと寝台に横たわる。
「あら、疲れちゃったかしら? じゃあ今日はこのくらいにしておきましょうね」
「えっ……」
ドロテアはカスパルの拘束を解いてから乱れた衣服を整えると、呆然とするカスパルを残して部屋を出ていった。
後ろまで開発されてしまったカスパルが童貞を卒業できたのは、これよりさらに後のことである。
はなびらひらく 2/3
コンスタンツェの妙な魔法で女性の体になってしまってから数日――あまりこの状況を悲観していないリンハルトとカスパルは、せっかくとばかりにその体のまま性行為にふけっていた。
お互いの胸を揉み合ったり、陰核同士を擦り合わせてみたり、膣口を指でなぞってみたり……と、興味から始まった行為は徐々に深いものになっていく。
そうなるともう、その先も試したくなるのは仕方がない。
「ねえカスパル、今日は挿れてみない?」
「えっ」
リンハルトはカスパルの割れ目を指先で撫でながら熱っぽく囁いた。
先ほどまでお互いの体を弄り合っていたので、カスパルのそこは既に潤っている。ちょんと指先で触れるだけでひくりと震え、軽く指を差し込むと花弁が綻んで内側の粘膜が露になった。
「挿れるって言っても、挿れるもんがねえだろ? どっちも女なんだからよ」
「ああ……それなら大丈夫だよ。ほら」
リンハルトは寝台の脇にある棚に手を伸ばし、用意していた張り型を取り出す。男性器を模したこれは、以前帝都を訪れた行商人から仕入れたものだった。
二人は既に何度も交わっている間柄ではあったが、本陣の防衛を務めることが多いリンハルトと、敵陣の制圧を主な役割とするカスパルでは肉体的な距離が離れている期間が長い。
この張り型はそんな状況が続いて体が疼いたときに、自分を慰めるためにとこっそり所持していたものだった。
「ね……これを僕のここに挿れてくれないかな?」
リンハルトは自ら股を開いて自分の秘裂を指で示す。リンハルトのそこもすでに濡れており、指で開いた襞の間からとろりと愛液が溢れ出していた。
実のところ、リンハルトとしてはカスパルの中に挿れてみたいという気持ちのほうが強かった。自分の手の中であられもなく乱れて、淫らに喘ぐ幼なじみの姿を見てみたい。
しかし、最初はどうしても痛みを伴うだろうし、カスパルが「これは痛い行為だ」と認識してしまえば今後も拒絶されてしまう可能性がある。
リンハルトとてカスパルが嫌がるのであれば無理強いするつもりはない。カスパルを泣かせたいわけでも、カスパルに嫌われたいわけでもないのだ。
……が、それはそれとして挿入はしてみたい。
ならば自分が最初に体験して、カスパルに「これは気持ちのいい行為である」と認識してもらおう――という思惑からの提案だった。
「お前がやりたいならいいけどよ……オレ、女としたことないから勝手がわからねぇぞ」
「まあ、そのくらいは想定内だよ」
カスパルの言葉を聞き流しつつ、リンハルトは自身の割れ目を更に広げてみせる。くぱぁっと大きく広がったそこは、刺激を求めてひくつきながら蜜を流し続けていた。
「だいぶ濡れてるし、指でもけっこう弄ったから多分いけると思うんだよね」
リンハルトは自身の膣口に張り型の亀頭をぴとりとくっつける。それを片手で固定しつつカスパルの手を引き、張り型を握るように促した。
「自分で挿れちゃったら自慰と変わらなくなっちゃうからさ。君の手で僕の中に挿れてくれないかい?」
「……わ、わかった」
カスパルは戸惑いながらも、促されるままリンハルトの膣へ張り型の挿入を試みた。
秘裂に宛がわれた張り型の先端が、入口を確かめるように何度もそこを往復する。加減がわからないあまり慎重になりすぎているのか、先端が膣口を刺激してくるだけでなかなか中には入ってこなかった。
カスパルにそんな意図はないのだろうが、焦らされているようなもどかしい刺激にリンハルトの下腹部がじんわりと熱くなってゆく。
「……っふ、ぅ」
「わっ……!」
無意識のうちに腰を動かしてしまい、張り型の先端がぬぷんと音を立てて膣内に入り込んだ。カスパルは驚いていったん張り型を抜きかけるが、それを制するようにリンハルトが手を重ねる。
「いいから続けて」
「お、おう」
催促されたカスパルは張り型を握り直してゆっくりと押し進めた。少しずつではあるが、張り型はずぶずぶとリンハルトの中へと入っていく。
「あっ……カスパル上手だね……」
「そ、そうか? これで合ってるのか?」
「うん、そのまま奥まで入れてみて……」
カスパルは更に張り型を膣の奥へと進める。膨らんだ雁首に膣壁が拡張され、未知の場所を暴かれる感覚にリンハルトの背中がぞくりと泡立った。
やがて張り型は最奥まで到達し、とん、と子宮口を突いたところで動きを止める。
「えっと……これでいいのか?」
カスパルは張り型を握った手を緩め、小刻みに動かしながらリンハルトの反応を窺っていた。
まだ異物感が強いが、痛みは感じていない。リンハルトは小さく息をついてカスパルを見上げた。
「ん、大丈夫……カスパル、次は少しだけ抜いてくれるかい? ゆっくりでいいから」
「ああ、こうか……?」
カスパルは言われた通りに張り型を引いていく。膨らんだ亀頭がずるりと抜け出ていく感触に、リンハルトは思わず声を上げていた。
「あ、あぁ……ッ」
「だ、大丈夫なのか?」
悲鳴のようなリンハルトの嬌声に驚いたらしく、カスパルは慌てて張り型を引き抜く。引き抜かれたそれは愛液でどろどろになっており、糸を垂らすほどに濡れそぼっていた。
「ごめん、ちょっとびっくりしただけだよ。ほら、続けて」
「……わかった」
カスパルは再び張り型を押し込み、慎重に引き抜く。何度かそれを繰り返すうちにコツを掴んだようで、次第に抽挿の速度は早くなっていった。
「あっ……! そこ、気持ちいいかも。あ、あっ……」
張り型がある一点を掠めたとき、鋭い快感が走ってリンハルトは背筋をしならせる。亀頭だけが入り込んだくらいの位置にある浅い部分だ。
リンハルトはそこを張り型に押し付けるように小さく腰を振り、指で陰核を擦って自身を慰める。そんなリンハルトの姿に興奮を覚えたのか、カスパルがごくりと喉を鳴らした。
「ここがいいのか?」
「うん、そこ……もっと擦って」
「こうか?」
「あ……あ、あ……っ」
カスパルはリンハルトの様子を窺いながら慎重に張り型を動かす。
初めは恐る恐るという様子だったが次第に激しく抜き差しするようになり、ときおり角度を変えて内壁を強く押し込む。張り型を動かすたびに結合部からぐちゅぐちゅと水音が響き、溢れ出た愛液が敷き布を濡らしていった。
「んっ、ふ……ぁ……あ……♡」
「あ……すげぇなこれ……」
目の前で乱れる幼なじみの姿を見ながら、カスパルは自分の下半身にも熱が集まってくるのを感じていた。カスパルの腰が自然と揺れ、触れもしていない割れ目からじわりと愛液が滲んでくる。
「やべ……オレもなんか変だ……」
「ん……カスパルも気持ち良くしてあげるからさ、お尻をこっちに向けてくれる? そうそう、僕の顔を跨ぐような感じで」
カスパルは言われるままリンハルトの顔を跨ぐ体勢を取った。カスパルの目の前にはリンハルトの秘部があり、リンハルトの目の前にもまたカスパルの秘部がある。
「あ……すごい……カスパルの中がよく見えるよ。ヒクヒクしてて可愛いね」
リンハルトはカスパルの襞を指で開き、蜜を滴らせる膣穴を覗き込む。カスパルの膣はすっかり濡れそぼっており、襞の中に溜まっていた愛液がとぷりと溢れ出してきた。
「ひあっ、待っ、そこぉ……!」
親指と人差し指で硬くしこったカスパルの肉芽を摘めば、カスパルはビクビクッと腰を震わせる。そのままくにゅくにゅと捏ねるように刺激すると、膣口や肛門が淫らに開閉してリンハルトの目を楽しませた。
先端をカリカリと引っ掻いたり、きゅっと強めに押し潰したり、爪先で弾いてみたり……様々な方法で肉芽を虐めるたびに、カスパルの体は面白いように跳ねる。
「ひっ、うぁあああっ! それ、変になるぅ……!」
「ん……もっと気持ち良くしてあげるね」
リンハルトはカスパルの秘所に顔を近づけ、ちゅぷりと音を立てて舌を差し込んだ。熱い粘膜同士が触れ合い、溶けそうなほどの快感が接触面から広がってゆく。
「わっ……! リ、リンハルト、そんなとこ舐めるなって!」
「なんれ? きもちいいれしょ?」
「しゃべるなってば……うぁっ!」
じゅるるっ……と音を立てて愛液を吸い上げられ、カスパルの体がビクンと跳ねる。ぬるついた舌先が敏感な割れ目を何度も往復する度に、甘い痺れに似た快感がカスパルを支配した。
「ひうっ……あっ……だめだそれ……っ!」
カスパルは刺激から逃れようと身を捩るが、かえって陰部をリンハルトの口に擦り付けてしまっている。
肉付きのよい尻が目の前で揺れる様子を眺めながら、リンハルトは包皮を被ったカスパルの肉芽を唇で優しく食んだ。
「ひっ!? そ、そこは……!」
包皮を剥いて露出させた陰核に軽く歯を立て、尖らせた舌先でチロチロと先端を刺激する。強く吸い上げては優しく撫で、緩急をつけて敏感な肉芽を慰めると、カスパルは為す術もなく快楽に溺れていった。
「あうっ……ひゃ……んっ♡ はぁ、あ……♡」
リンハルトは口を大きく開けてカスパルの女陰を全て覆い、じゅるるっと勢いよく吸い上げた。
同時に親指の腹で充血した肉芽をぐりぐりと押し潰し、転がすように愛撫して二ヶ所から攻め立てる。剥かれたばかりの敏感な部分を容赦なく刺激され、カスパルは太腿をガクガクと震わせた。
「あっ♡ あっ、あっ♡」
「んむ……ぷぁ、カスパル、すごくいやらしい顔になってるよ」
「うぁっ……こんなの無理だって……っ♡」
カスパルは無意識のうちに腰を振り、自らリンハルトの口元に性器を押し付けている。それに気付くと慌てて腰を引くが、すぐにまた快感を求めて擦り付けてしまっていた。
「ふふ、可愛いね。でも、僕の中もちゃんと可愛がってよ」
「ふぁ……っ、わかったからちょっと待ってくれ……」
カスパルは快感の波が過ぎ去るのを待った後に、リンハルトの秘部に入っている張り型を動かす。先ほどより深く挿入されたそれは子宮口を押し上げ、奥を突かれる快感にリンハルトの口から甘い吐息が漏れる。
「ん……あ……そこだよ……もっと突いて……」
「こうか?」
「あ……うん、上手……♡」
ぐちゅ、ぬぷ、と濡れた音を立てながら張り型を咥えるそこを、カスパルは一心不乱に攻め立てた。
リンハルトの真似だろう、カスパルも拙い手つきで陰核を摘んでやわやわと刺激してくる。小さなそこを潰さないように加減をしているせいか、激しい愛撫ではなかったがリンハルトにはそれで充分だった。
「カスパル、そこいいっ……! もっとぉ……♡」
「は、ぁ……リンハルト……ッ♡」
二人は夢中でお互いの性器を刺激し合い快楽を貪った。絶頂が近付いてきたリンハルトの腰がぶるりと震え、膣がきゅっと張り型を締め付ける。
リンハルトの期待に応えるように、カスパルの手の動きは激しくなってゆく。張り型が抜ける寸前まで引き抜いたかと思うと、次の瞬間には一気に根元まで押し込まれた。勢いよく奥を突かれたリンハルトの腰が跳ね、その振動によって更に奥まで張り型を咥え込む。
「あっ……すご……カスパル激しすぎ……♡ 僕もうイっちゃいそう……カスパルもイこうね?」
リンハルトはカスパルの膣に指を押し込んで性感帯を探し当て、指の腹でグリグリとその部分を責め立てる。同時に陰核を前歯で甘噛みすると、カスパルは悲鳴に近い声を上げた。
「えっ、あ、あ♡ そ、それダメだ……あぁぁっ♡」
「ふふ……一緒に気持ち良くなろう?」
「あ、あぁぁっ♡ イク……♡ あ、あぁぁぁっ♡」
「んっ、あぁんっ♡ カスパル……ッ♡」
二人の体が痙攣するように小刻みに跳ね、互いの秘裂から勢いよく潮が噴き出す。それはお互いの顔にまで飛散し、快感に火照った頬を濡らしていった。
「あ……あぁ……♡」
「はあっ、すごい量……♡」
カスパルはそのまま倒れ込むようにしてリンハルトの上に覆い被さる。
荒く呼吸を繰り返しながらしばらく抱き合ったあとは、どちらからともなく唇を重ねた。そのまま舌を絡め合うと、互いの唾液が混ざり合って糸を引く。
「リンハルト……その、それ、オレにもしてくれよ。なんか、ここがムズムズするんだ」
カスパルの視線の先にあるのは、いまだリンハルトの体内に収まっている張り型だった。張り型を咥えてよがるリンハルトの姿に感化されたのか、カスパルの膣穴もまた張り型を欲しているらしい。
「うん、今度は僕が挿れてあげるね」
リンハルトは自分の中に収まっていた張り型を抜いてカスパルに向き直った。
カスパルの片足を持ち上げ、愛液に濡れたそこに張り型を宛がう。片手で襞を割り開きながらもう片方の手で張り型を押し込むと、カスパルはゆっくりと息を吐きながら体の力を抜いてそれを受け入れた。
「大丈夫? 痛かったら言ってね」
「ん……平気だから、続けてくれ……」
「うん……ゆっくり動かすね」
リンハルトはカスパルの様子を見ながら慎重に抜き差しを始める。最初は苦しげだったカスパルの声にも徐々に艶やかな色が混じるようになり、律動に合わせてか細い嬌声を漏らし始めた。
「んっ、なんか変だ……奥がジンジンして……」
「奥……ここがいいのかな?」
リンハルトは張り型の先端をカスパルの子宮口にぐりぐりと押し付ける。かと思えば子宮口にぴたりと宛がった張り型を小刻みに振動させ、異なる刺激を与えてカスパルの性感帯を探った。
「膣の中には二箇所の性感帯があると言われてるんだよね。ひとつめはここで……」
「ひゃうっ♡ だめだ……そこはっ♡」
リンハルトは一度張り型を引き抜き、亀頭だけを浅く抜き差しする。そうしながら雁首で陰核の裏側を擦ってやれば、カスパルは腰をびつくかせて軽く達したようだった。
「もうひとつがここ、子宮口だね」
「あっ、あっ、あっ、ああぁ~っ♡」
張り型を再び奥まで挿入し、今度は先端で子宮口をトン、トン、と軽くつつく。達したことによって開いている子宮口を断続的に刺激され、カスパルは口の端から涎を垂らしながら喘いだ。
「あ……そんなにされたら……っ!」
「ふふ、感じちゃうよね」
リンハルトは張り型を激しく抽挿させながらカスパルの乳房を揉みしだいた。張り詰めた乳首を摘ままれ引っ張られ、カスパルは痛みを伴う甘い快感に悶える。
「あんっ♡ あぁっ♡ リンハルトぉ……っ♡」
「はぁ……カスパル可愛い……もっと見せて……」
カスパルはリンハルトの首に腕を回し、自らも腰を振りながら快楽を求めた。結合部からはぐちゅぐちゅという淫猥な水音が響き、カスパルの秘裂から溢れた愛液がリンハルトの手を汚していく。
「あっ♡ そこぉっ♡ ああぁっ♡」
カスパルの絶頂が近いことを察したリンハルトは、充血したカスパルの陰核に手を伸ばして指先で刺激し始めた。二本の指で挟まれこりゅっと扱かれると、その度にカスパルの中がきつく締まる。
「あ、ああっ♡ イク……♡ イっ……あっ、あっ、ああぁ~ッ♡」
カスパルの膣がきゅううっと収縮するのと同時に、亀頭が抜ける寸前まで張り型を引き抜く。そしてそれを勢いよく最奥まで押し込み、子宮口をぐりゅっと押し潰した。
「あっ!? あっ、あっ、あぁーッ♡」
激しい突き上げを受け、カスパルは背を仰け反らせて再び絶頂を迎える。カスパルの秘裂からはぷしゃあっと透明な液体が噴き出し、リンハルトの手や自身の太腿に飛び散った。
「ふふ、すごい……♡ そんなに気持ちよくなってくれたんだね」
「はぁ……あ……あぁ……」
連続絶頂の余韻で脱力しているカスパルの中から、リンハルトがゆっくりと張り型を引き抜く。栓を失ったそこからはどろりと愛液が零れ、質量を失った膣口がぱくぱくと開閉を繰り返した。
「カスパルのここ、すごく濡れてるね。おいしそうだなぁ」
「あ、え……?」
リンハルトはカスパルの両膝を抱え上げると、そのまま股間に顔を埋めた。そして濡れそぼった秘部に舌を差し入れ、溢れ出る蜜をじゅるると音を立てて吸い上げる。
「えっ、あ、あぁっ♡」
突然のことに驚いたカスパルだったが、すぐにその行為の気持ち良さに意識を持って行かれた。
リンハルトの舌が膣内に侵入し、ざらついた表面で敏感な部分を舐め上げられる。カスパルは自らリンハルトの顔に性器を押し付け、与えられる快感に身を委ねていた。
「あぁ……あふ……♡」
リンハルトはカスパルの太腿を掴んで固定すると、今度は陰核を口に含む。熱い口内で何度も優しく甘噛みし、吸い上げ、舌の先で転がす。同時に膣内にも指を入れて掻き回すと、カスパルの体は歓喜に打ち震えた。
「んっ、あぁっ♡ はぁ……リンハルトぉ……♡」
「ん……んむ……はあ……イッた後だからかな、さっきより熱くなってるね」
可愛らしいカスパルの反応を見たいあまり、リンハルトは夢中で小さな陰核を貪る。尖らせた舌先で転がし、根元から先端に向かってじっとりと舐めてやれば、カスパルは体を震わせて悦んだ。
「あ、あ、あ……また、イッ……あ、あ……♡」
再び訪れた絶頂にカスパルは身を捩らせながら喘いだ。リンハルトは更に強くカスパルの肉芽を吸い、舌の先で尿道口を刺激して休むことなく快感を与える。
「ああぁっ♡ だめだ……もう……っ!」
「んっ……いいよ、何回でもイってごらん?」
「あぁっ♡ あ、ああぁぁ……っ♡」
カスパルは連続で訪れる絶頂に為す術もなく翻弄され続けた。もはや自分の意思では体を動かすことができず、リンハルトにされるがままになっている。
「はぁ……カスパル……僕も……」
しばらくカスパルの秘部を味わっていたリンハルトは名残惜しそうに口を離すと、愛液を零す自らの秘裂をカスパルのそこに擦り合わせた。
「んっ……カスパル……」
「あぁ……ん……」
互いの陰核同士が触れ合い、快感が電流のように駆け巡る。二人は同時に腰を動かして陰核同士を押し潰し合い、溢れ出る愛液を塗り広げるように互いの膣口を擦り合わせた。
「あ……あ……これ気持ちいい……♡」
「ん……カスパルのここもぬるぬるしてて気持ちいいよ……」
カスパルの秘裂からは絶え間なく愛液が流れ出し、リンハルトのそれと混じり合って粘着質な音を立てている。二人のそこはすっかり蕩けきり、お互いの粘膜が溶け合うような快感をもたらした。
「はぁ、ん……カスパル……カスパル……」
「あぅっ♡ あぁっ♡ あんっ♡」
二人は本能のままに強く抱き締めあい、ひたすらに腰を振り続けた。硬くしこった陰核同士がぐりゅっと押し潰れるたびに、二人の口からは甘い声が上がる。
「あっ、あっ、あっ! イク……あ、ああっ!」
「僕も……一緒に……っ」
陰核で陰核を犯し合いながら同時に果て、二人は秘裂から大量の潮を噴き出した。カスパルはぴゅっ、ぴゅっと断続的に潮を吹き続け、何度も軽い絶頂を繰り返している。
「はぁ……たくさん出たね……」
「あ……あぁ……♡」
カスパルは全身を痙攣させながら余韻に浸っている。
リンハルトはそんなカスパルの唇を塞ぎ舌を絡めると、そのまま彼の上に覆い被さり胸元に顔を埋めた。そして柔らかな肌をちゅううっと吸い上げる。
「んっ♡」
「はぁ、可愛い……好き、好きだよカスパル」
「ん……オレも……」
リンハルトはカスパルの胸に顔を埋めたまま、ちゅっ、ちゅっと音を立てて口付けを繰り返した。ときおり乳首にも吸い付いて舌先で弄ぶと、カスパルは小さく身じろいで反応を示す。
やがてカスパルの呼吸が落ち着いてきたところで、リンハルトはゆっくりと起き上がった。そして未だにひくついているカスパルの秘部に手を伸ばし、膣内へ二本の指を沈めていく。
「ん……まだ足りないよね?」
「ふあっ……あぁ……っ」
カスパルはこくこくと頷くだけで、もはや言葉らしい言葉を発するのも難しいようだった。そんな様子すら愛らしく、リンハルトはカスパルの唇を軽く啄む。
「ふふ、すごい……こんなにトロトロになってる」
リンハルトは指を増やし、三本の指をばらばらに動かしてカスパルの中を掻き回した。ぐちゃっ、くちゅっ、と音を立てて掻き混ぜられ、カスパルは恥ずかしさに頬を染める。
「ね、今度は一緒に気持ちよくなろうか?」
「一緒に……?」
カスパルの物足りなさそうな反応を確認したリンハルトは、先ほどまでカスパルの中に挿れていた張り型を寝台に置き、代わりに別の張り型を手に取った。
亀頭にあたる部分が両方の先端に付いている長めの張り型だ。リンハルトはそれをカスパルに見せつけるように軽く振る。
「これ、どう使うものかわかるかな? こっち側を僕のここに挿れて、反対側はカスパルのここに入れるんだよ。それで二人で気持ち良くなれるんだって」
リンハルトはすでに潤みきっている自身の秘部へと張り型の先端をあてがった。片手で襞を開きながらもう片手で張り型を押し込み、亀頭を膣内に収めていく。
「んっ……こんなものでいいかな……カスパル、こっちに来て」
「あ……ああ」
リンハルトは張り型の根本部分を掴んで固定すると、もう片方の手を差し出してカスパルを呼んだ。カスパルは熱に浮かされたような表情を浮かべ、素直に手を取ってリンハルトの上に跨がる。
「ほら、君の好きなところに当ててごらん?」
「こ……こうか?」
カスパルは言われるままに腰を落とし、張り型を自らの秘部に咥え込んでゆく。既に一度張り型を挿入し、リンハルトの口淫によっても解されたそこは、思いのほか軽々と張り型を飲み込んでいった。
「あ……すごいね、カスパルのそこが広がってるのがよく見えるよ」
「ばっ……言うなって……」
カスパルは羞恥心から目を逸らすが、その先の快感を知っている体はもう止まらない。早く奥まで突き入れたいという欲望に駆られて、カスパルは少しずつ腰を進めていった。
「はぁ……あぁ……♡」
「ん……うまいよ」
カスパルはリンハルトに体重をかけないよう気をつけながら、恐る恐るといった様子で腰を動かし始めた。張り型はカスパルの奥深くにまで入り込んでおり、彼が動くたびに互いの子宮口をぐりぐりと押し上げる。
「あぁっ♡ あ……あ……」
「んっ……カスパル、もっと動いていいよ」
カスパルの動きは徐々に大胆になり、抽挿するように激しく腰を打ち付けた。結合部からは愛液が大量に溢れ出し、飛び散った飛沫が互いの下腹部を濡らしている。
「あっ♡ あっ♡ 激しっ……♡」
膣の奥を張り型で激しくほじくられ、リンハルトはカスパルの手を握りながら髪を振り乱した。
相手に抱かれているような状態なのに、目の前ではその相手も淫らに喘いでいて、抱いているのか抱かれているのか判断がつかない。その不思議な一体感が二人の快感をいっそう高めていく。
「ん……そろそろ僕も動いていいかな?」
「あっ……!」
リンハルトはカスパルの尻を掴み、下から突き上げる形で抽送を始めた。カスパルは自重によってより深い場所を突き上げられ、結合部から愛液を迸らせる。
「あっ! ああぁっ♡ そこ……っ!」
「はぁっ……カスパル……気持ちいいかい?」
「あぁっ♡ あぁっ♡ いい……っ♡」
「ん……僕もいいよ……カスパルのここがきゅって締まるとね、張り型を通して振動が僕の中まで伝わるんだ」
リンハルトに突き上げられるたび、カスパルは無意識のうちに張り型を強く締め付けていた。そのせいでリンハルトの中に埋まっている張り型も小刻みに震え、二人の膣口を広げて感覚を共有しているような錯覚を与えてくる。
「あっ、すごい、ね……僕が感じてるのも伝わってるかい?」
「あぅっ♡ はぁっ♡ あぁ~っ♡」
リンハルトはカスパルを強く抱き締めると、密着したまま腰を打ち付けて互いの性器を刺激し合った。二人の間で陰核同士が擦れ合い、乳房が押し潰されて形を変える。
「あぁ……イク……またイクッ……♡」
「うん、僕もまた……一緒にイこうね」
「んっ♡ んぅっ♡ ん~っ♡」
二人は同時に絶頂を迎えると同時に唇を重ね合わせた。舌を絡め合いながらビクビクと体を震わせ、繋がった秘部からとめどなく潮を吹き出す。
生温い体液がお互いの股間を濡らす感覚すら心地よく、二人はしばらくの間そのままの体勢で余韻に浸っていた。
その後、湯浴みや着替えを終えた二人は、先ほどまでの乱れっぷりが嘘だったかのようにいつも通りの調子で会話をしていた。
「そういや次の戦はこの体で出陣することになるよなあ……オレはラディスラヴァの部隊から女竜騎士用の鎧を借りるけど、お前はどうするんだ?」
「僕もドロテアあたりから女性魔道士用の服を借りるつもりでいるよ。さすがに男性用のだと大きくて動きにくいし」
「ドロテアに……って、あのやたら派手な平服みたいなやつか」
「不本意だけどそうなるよね……」
女性魔道士ご用達の豪奢な礼服を思い浮かべながらリンハルトはため息をつく。
もともと魔道士や祈祷兵の戦闘服は性別による差異が少ないため、多少の派手な服は許容できるつもりではあった。とはいえ、あれはいくらなんでも華美すぎである。
「まあ、似合いそうだからいいんじゃねえの?」
がっはっは、と豪快に笑うカスパルをリンハルトは恨みがましく見つめる。そんなときふと閃いて、リンハルトは「あっ」と小さく声を漏らした。
「せっかくだから今度は女性的な服を着たまましてみないかい? ほら、カスパルも女性の斧戦士用の服とか借りてきてさ。ああ、踊り子の衣装なんかもいいね」
「お前、この妙な状況を積極的に活用しようとするよな……いや、リンハルトらしいけどよ」
カスパルは呆れたように苦笑したが結局はリンハルトの提案を受け入れ、今度は女性用の衣装で楽しむことになったのであった。
もちろん、行為に使用した服を返すのはいたたまれないため買い取りである。
シェズ♀がカスパル♀のおっぱいを揉む話
目の前で揺れるふたつの膨らみから、シェズは目が離せないでいた。
コンスタンツェの魔法の暴走によって、カスパルとリンハルトが女性の体になってから数週間。カスパルは相変わらず厳しい鍛練に励んでいるし、リンハルトも相変わらず昼寝したり二度寝したりしている。
そして、シェズも変わらずカスパルの鍛練に付き合っているわけだが――その間、どうしても目がいくのがたわわに実った胸の膨らみである。
カスパルが突きや蹴りを繰り出すたびに、ふたつの膨らみがぶるんぶるんと派手に揺れる。その光景に、シェズはどうしても釘付けになってしまうのだった。
「……もらったぁ!」
胸に気を取られているあいだにカスパルはシェズに肉薄し、無防備になっていた脇腹に回し蹴りを繰り出す。
「ぐっ!?」
シェズは咄嗟に防御の姿勢を取ったものの、体勢を崩して膝から崩れ落ちる。それでもすぐ体勢を立て直し、脇腹を押さえながらよろよろと立ち上がった。
「……シェズ。お前、最近なんだかぼんやりしてるよな? いまも隙だらけだったぜ」
カスパルは身を屈めてそんなシェズに手を差し伸べる。それによってカスパルの胸が更に寄せられ、シェズは一層目を奪われてしまうこととなった。
「そりゃあ、まあ、こんなものが目の前で揺れてたら気にもなるわよね……」
シェズはカスパルの胸から視線を外さないまま、差し出された手を握る。
シェズの視線が自身の乳房に注がれていることに気がついたのだろう。カスパルは自身の胸とシェズの顔を交互に見つめたあと、「そんなに気になるもんか?」と首を傾げた。
「オレはあんま気にならねえけど」
「あなたはそうなんでしょうね。でも、気になる人もいるのよ。むしろ多いと思うわ」
カスパルはシェズと鍛練しているときも、蠱惑的な胸の谷間を気にする素振りを見せた試しがない。シェズとしては少し不服ではあるものの、そこがカスパルの好ましい部分であることも確かだった。
「いや、男が女をそういう目で見ることがあるってのはオレだって知ってるけどよ。女同士でも相手の胸をそういう目で見ることがあるのか?」
「稀ではあるけど、ないことはないわね」
シェズは溜め息混じりに呟いた。カスパルはなるほどと頷きつつ、自身の胸をじっと見つめる。
「そんなに気になるんなら触ってみるか?」
「え……?」
思いがけない申し出にシェズは目を丸くした。
「別に減るもんじゃねえし、構わないぜ」
カスパルは自身の胸を下から持ち上げて「ほら」とシェズに差し出す。
シェズはごくりと生唾を飲み込み、恐る恐る手を伸ばした。ふに、と指先に柔らかな感触が触れ、服の上からでもわかる弾力と柔らかさにシェズは思わず息を飲む。
「ん……っ」
少しくすぐったかったのか、カスパルは僅かに身を捩らせた。
弾力のあるそれをそっと持ち上げてみると、ふよんとした感触が返ってくる。両手で鷲掴みにしてぐにゃりと揉めば、元の形に戻ろうとするそれがシェズの指を押し返してきた。
「……すっごく柔らかくて気持ちいいわ」
「おう、そうか。それなら良かったぜ」
シェズはしばらくのあいだ、夢中になってカスパルの胸を揉み続けた。カスパルは特に嫌がる素振りも見せず、くすぐったそうに身を捩らせつつもされるがままになっている。
「……ねぇ、カスパル」
「ん? なんだ?」
「私はどこまでしていいのかしら?」
「どこまで?」
カスパルは首を傾げる。
その反応を見て、シェズはため息をついた。
シェズに悪意があったのであれば、このまま何も理解していなさそうなカスパルを天幕に連れ込んで、猥褻な行為に及んでいたのかもしれない。
だが、きょとんとした表情を浮かべるカスパルにこれ以上のことをする気は起きず、シェズはそっと手を離した。
「……なんでもないわ。忘れて」
「いや、忘れろって言われてもよ」
カスパルは納得がいかないような表情でシェズを見つめる。
こんなに無防備なカスパルが屈強な男だらけの格闘部隊を率いているのかと思うと、シェズは少し不安になった。
「ねぇ、カスパル。あなたの部隊の人って全員男よね」
「そりゃあ、格闘部隊だからな」
「それって大丈夫なの? 貞操の危機とか感じないわけ?」
「なんだそりゃ?」
言葉の意味がわからないらしいカスパルは疑問符を浮かべるばかりだ。どうやら本気で言っているらしい。
「……まあ、あなたは強いから、きっと襲ってきた相手も返り討ちにできるでしょうけど。でも、警戒はしておいたほうがいいわよ」
「? おう、よくわからねえが気をつけるぜ」
納得していないながらも頷くカスパルを眺めながら、シェズは再度ため息をついた。
にょたりんのひとりあそび
幼い頃から見知った親友を性的な目で見るようになったのはいつからだっただろう。それが曖昧になるくらい二人の距離は近くにあった。
「はあっ……あっ、カスパルっ……」
くちゅくちゅと音を立てながらリンハルトは自分の秘所を細い指で掻き回す。
何度か自慰を重ねたことによって挿入時の痛みは僅かになり、代わりにいくらかの快感を拾えるようになっていた。
「あっ、ああんっ……!」
リンハルトの秘所は自らの指を深く咥え込み、歓喜の蜜を零しながらひくひくと震えている。
カスパルがどんな風に自分を愛撫するのか。どんな言葉で、表情で、リンハルトを求めてくるのか。それを想うとリンハルトの指の動きは激しさを増し、膣壁を爪先で何度も擦り上げた。
「あぁっ、そこおっ……!」
膣を弄る手はそのままに、リンハルトはもう片方の手を陰核へと伸ばす。指先で陰核を摘むとびりっと電流が流れたかのような快感が走り、リンハルトは背中を仰け反らせた。
第二次性徴期を迎えてからというもの、少年のようだったカスパルの体には女性らしい丸みが生まれた。
若々しい果実のような乳房や、しなやかに伸びた筋肉質な手足――無意識のうちに、リンハルトはその体に舌を這わせてみたい、と考えてしまうようになったのである。
カスパルの体を暴いて、その胸にしゃぶりつきたい。いま自分にしているように陰核を捏ね回して、甘い声を上げさせたい。おそらくは未開であろう秘所に初めて触れる相手になりたい。
「あぁんっ、カスパルっ……あっ、だめぇっ……!」
カスパルのことを想うと、リンハルトは自らの秘所からじわりと愛液が溢れてくるのを感じた。
カスパルはどんな声で喘ぐのだろう。どんな顔で達するのだろう。そんな妄想に耽りながらリンハルトは指を動かす。
「ああぁっ……あっ、あぁっ……!」
こりっ、こりっと淫核を転がすたびに、リンハルトの膣から愛液が溢れ出る。
ぷっくりと膨れ上がった肉芽は包皮から僅かに顔を出しており、指の腹で擦るとそれだけで達してしまいそうなほどの刺激が走った。
「ひぁっ……! カスパルっ……ああっ、だめだめっ……いっちゃ、ううっ……!」
リンハルトは自身の陰核をぐりぐりと強く押し潰し、それと同時に膣内に挿入したままの指で膣壁を抉るように引っ掻く。
「あっ、あっ、だめええっ……!」
やがてびくん、びくんとリンハルトの体が痙攣し、秘所から大量の潮が噴き出した。同時に膣壁がきゅうっときつく締まり、指に絡みつくような動きを見せる。
「はぁ……あ……」
絶頂後の余韻に浸りながら、リンハルトは己の秘部から指を引き抜く。ぬちゅりといやらしい水音を立てた膣口からは透明な蜜が糸を引いており、それは指が離れるにつれぷつりと切れた。
「んっ……はぁ……」
リンハルトはぐったりと寝台に身を預ける。
こんな行為をしていることをカスパルに気付かれたらどう言い訳をしよう。そんなことを考えつつ、リンハルトはぼんやりと天井を見つめた。
「カスパル……」
小さく呟いた言葉は誰の耳にも届くことなく、部屋の中に消えていく。
リンハルトは深く溜息を吐くと、そのままゆっくりと目を閉じた。