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(※追記あり)パワプロドラマを観ました

  • 執筆者の写真: 怪盗オコジョポリス
    怪盗オコジョポリス
  • 9月27日
  • 読了時間: 12分

更新日:9月30日

パワプロドラマを観たのですが、思っていたより楽しめました。「パワプロの社会人野球編を実写化」ではなく「パワプロという媒体を利用した『世にも奇妙な物語』みたいな感じ」かなという印象です。


パワプロドラマ2025 ー平凡な新社会人の俺がサクセスした話ー(TVer)


すごくおもしろいかと言われればそうとは言えませんが、間食でもしながら気楽に眺めるぶんにはいいのではないかなと。でも原作を知らなかったら観てなかったとも思います。


ということで視聴前の印象と実際に視聴したあとの感想をまとめました。




ここから下は視聴前に書いた文章です)


キャスティングや予告映像まではそこまで不満もなく眺めていたのですが、放送開始前にドラマの公式Xがポストしたカウントダウン映像で見たユニフォームの造形がチープすぎて一気に不安になった次第です。あと守の髪型も原作に寄せているような? スーツ姿の映像ではそんなでもなかったのですが。

 

気になってPR映像を見返してみたところ、最初あたりに出てくる野球シーンでは主人公は普通の(コスプレ感のない)ユニフォームを着ており、守の髪型も原作に寄せていないおしゃれな感じのものでした。


パワプロドラマのPR映像(TVer)


しかし、その後の二人の野球シーンでは原作に寄せた(チープな感じの)赤白&青白ユニフォームを着ており、守の髪型も変化しています。

 

公式の紹介文によるとドラマの内容は「現実とゲームの世界がリンクする」という要素を含むようなので、現実世界でのシーンではコスプレ感のない恰好をしていて、ゲーム内のシーンではコスプレっぽい格好をしているのかな? などと予想しました。

 

視聴前に書いた文章おわり)



 

以下からは視聴した感想です。


主人公である西野くんは原作に登場する高校のひとつ「千将高校」の野球部のOBのようですね。新社会人なのに目の下にくっきりとクマがあり、既に人生に疲れているような雰囲気が出ています。


あとモニターに映っている選手の「西野」、左下に表示されたステータスを見ると金特と青得まみれですね。西野くんが作成したキャラなんでしょうか。かなりサクセスをやり込んでいそうです。


そんな西野くんは出勤しようと家の外に出たところでデュエリストになれそうなデザインのゲーム機を拾います。


このゲーム機、スティックに肉球のマークがついているのがかわいいですね。でも後ろ側がコード丸出しで年季入ってる感じなのが怖い。あとこんなでかいゲーム機を携帯したくないよ! 邪魔だよ! 上側の扇状のパーツ絶対にいらない。


不審すぎますが「ご自由にどうぞ」との書き置きがあることと、パワプロっぽいゲーム内容に興味を持った西野くんはそのゲーム機を持ち帰ることに。


ゲームを鞄に入れると触れてもいないのに「エントリー完了」という文字が画面に表示されます。なんだか「世にも奇妙な物語」みたいな始まり方ですね。


職場に出勤した西野くんはそこで同期の矢部くんや守、新人指導担当の花子さんや、なぜか社内にいるカレンちゃん(同僚なの?)らと出会います。


その後なんやかんやあったのちにゲームを起動すると、先ほど社内で起こった出来事と同じイベントが発生しました。やっぱり「世にも奇妙な物語」っぽいです。

 

西野くんは守との(いまのところ西野くんの一方的な)競争を脳内でパワプロの試合としてイメージしているようです。


心配していたチープなユニフォームのシーンはやはり現実世界で着るものではなく、西野くんの脳内イメージでだけ着用する衣服のようですね。ひと安心しました。


西野くんと守(と対戦相手の投手)を演じている俳優さんは野球経験者の方で、矢部くんや阿畑さんはそうではないのですが、この感じだと野球シーンがあるのは西野くんと守だけなのかもしれませんね(※視聴後追記→そうでした)


(細かいツッコミになりますが、なんで空振りをしたシーンのあと球がミットに入るのではなく柵にぶつかってるんだろう)


退勤後、阿畑さんの営む居酒屋でお酒を飲む西野くんと矢部くん。アバタボール=ハイボールというアレンジはうまいなと感じます。でもお酒にたこ焼きを入れるのは絶対においしくない。


店内に「今年の虎はごっつ強いで」と描かれたTシャツや、虎の飾りがかけてあるのが阪神ファンの阿畑さんらしいですね。カウンターの裏に誰かの遺影っぽいのがあるのが気になります。


矢部くん役の方、喋り方も表情も生き生きとしていていいですね。「矢部の眼鏡が割れた」「ヘッドスライディングを習得した!」あたりの小ネタにもクスリとしました。

 

注文を取りにきたのはアルバイトの進。進は二人に自己紹介をしますが、フルネームは言わずに「大学生でアルバイトの進と言います」とだけ名乗ります。


このシーンで「新入り」というセリフがあることと、後のシーンで「大学進学を機に……」という説明があるあたり、ドラマの進は守とは4学年差なのかもしれませんね。


演技に対してどうこう言えるほどの知識はないのですが、進役の俳優さんのしゃべり方があまり明瞭でないのがちょっと気になるところではあります。でも声質は少年っぽい可愛い感じなのは進っぽくていいですね。


その後、西野くんは矢部くんや守と営業周りをすることに。子供が苦手なりにちゃんと仕事(子供の機嫌取り)をしようとするところと、なんやかんやで主人公と張り合ってくるのは守らしい。あとここの西野くんの表情がとてもいいですね。

 

しかしやはり守の「次期社長」という肩書きが持つ効果は大きく、西野くんの成績は守にまったく及びません。


悔しがる西野くんは阿畑さんの店で矢部くんと愚痴ることに。このあいだ酒に酔った矢部くんが暴れたせいで出禁になっていたようですが、進が店に入れてくれたようですね。


そこで二人は進に話しかけられて「僕、猪狩守の弟なんです」と打ち明けられます。


「親ガチャ成功したやつにはわからないんだよ。オレたち普通のやつの気持ちは」とを話す西野くん対して、「それは逆も同じですよ。あなたにも僕や兄の気持ちはわからない」と返す進。


原作の守は口が悪く高圧的な態度を取るキャラですので主人公が腹を立てるのも正当な反応ですが、ドラマの守はそこまででもないので西野くんのやっかみは本当に僻みという印象です。


こんな西野くんに(当人は無関係なのに)僻まれてイラついた様子を見せない進のコミュ力がSですよ。年下の学生にこんなこと言うのはやめなさい西野くん。


そんなときに守と花子さんの居酒屋デート? に鉢合わせてしまい更に荒れる西野くん。花子さんには4人で飲まないかと誘われますが、それを断って店を出て行ってしまいます。


このシーン、矢部くんたちが会話しているときに進が西野くんを気にかけて追いかけている様子が画面に映っていますが、年下の学生にそんな気を使わせる西野くんがダメダメすぎます。


西野くんが守や花子さんの愚痴を言いながら外を歩いていると、たまたま散歩していたらしいカレンちゃんと遭遇。カレンちゃんは酔った西野くんを強引にタクシーに乗せて家まで送ります。カレンちゃんが西野くんの家の場所を知っているのが怖い。


(西野くんが家の鍵につけているガンダーのキーホルダーが可愛いですね)

 

その後、西野くんが鬱憤を晴らすようにバッティングセンターでボールを打っていると影山さんにスカウトされます。


影山さんは原作ではプロチームのスカウトですが、ドラマでは社会人チームのスカウトのもよう。しかし、西野くんは「オレには決定的な弱点がある」とスカウトを断ります。


影山さんが去ったあと、またあのゲームを起動する西野くん。画面には取引先の社長そっくりなキャラが表示されており、ボタンを操作するとプロフィールが確認できるようになっていました。


「これは使える」と気づいたのか、西野くんはそれを利用して取引先の機嫌を取ることに。


取引先の好みに合わせて接待ゴルフや接待カラオケをセッティングし、グングン成績を伸ばす西野くん。おかげで花子さんとデートの約束を取り付けることにも成功します。それを盗み見ていたカレンちゃんの表情が怖い。


「世にも奇妙な物語」だったらこのあとなんらかの皺寄せが来そうなところですね。


ゲームのおかげで仕事も恋愛もうまく行くようになり浮かれている西野くん。そんなときに徹夜で仕事をしていたっぽい守の姿を発見します。ここから「こんなものに頼って勝ってもだめだ」と思い改めるんでしょうか。


(よく見たらドラマの守もちゃんと左利きなんですね)


……と思っていたらダイジョーブ博士に改造されて失敗するイベントが発生。西野くんのステータスはガタ落ちし、営業成績も最下位になってしまいます。これがゲームの機能を利用した皺寄せなのかな?


花子さんにも怒られてしまい、荒れた結果として守にも親ガチャがどうのこうのとつっかかった挙句に手まで出す西野くん。ダメな人すぎて観ているこちらがイラつきます。


こんな西野くんとまともに会話してくれる守が偉すぎる。私だったら手を出されたあたりでその場を去っていますし何なら上司に報告します。


しかし守はそんなことはせず、家ではいっさいの娯楽を禁じられたり、そのせいで同級生と話が合わなかったり、常にハードルの高い期待を周囲から寄せられたりして苦労していることを打ち明けます。

 

そんな窮屈な生活に嫌気がさして家出した進に対して「でもあいつはいいやつだ。だから家を出て行ってよかったと思う」と言える守がいいですね。進が家出中とのことで心配していましたが(私が)兄弟の仲はよさそうでひと安心。


もう西野くんがダメすぎて「長男or次男はこれこれこうで楽だよな」みたいなことは言わず互いの心配をしている猪狩兄弟の育ちのよさが際立ちますね。


西野くんが守の立場だったら進に対して「次男は家を継がなくていいから楽だよな」とか言ってそうですし、進の立場だったなら「長男は贔屓されていいよな」とか言ってそうです。


というか「俺はこんな性格だ」と守は言いますが、西野くんよりよっぽどまともな性格ですよ。自分がうまくいかないのを親や他人のせいにしては当たり散らす西野くんより遥かに人間ができています。


その後、たまたま(ではない)居酒屋を訪れたカレンちゃんに促されるまま酒を浴びるように飲む西野くん。あげくその勢いのままワンナイトラブを過ごしたようです。


翌朝、なぜかステータスがすごくアップする西野くん。精神的な苦手も克服し、仕事もうまくいくようになりました。なんで?? そして西野くんは花子さんとのデートを断ってカレンちゃんと付き合うことに……??


よくわかりませんが(童貞を卒業したから?)抱えていた問題を解決した西野くんは自分に自信を持ち、守との営業勝負にも勝利して晴れやかな様子でゲーム機を元にあった場所に戻します。解決法それでいいの?


最後のカレンちゃんとダイジョーブ博士が重なるシーンが謎なんですが、すべてはカレンちゃんの策略だったみたいなこと……?? もしくは一連の出来事がダイジョーブ博士の実験だったとか?


爽やかな終わり方ですがもしかしてハッピーエンドではないんでしょうか。西野くんの営業成績は実際に上がっているのでバッドエンドでもないんでしょうが。


そう思うと西野くんが元の位置に戻したゲーム機を別の人が拾うという終わり方はちょっとホラーっぽいですね。やっぱり「世にも奇妙な物語」みたいな話という印象です。



 

……という感じで個人的にはけっこう楽しめたのですが、自分がパワプロユーザーであるがために小ネタがわかるからという部分はありそうです。


逆に、原作を知っているからこそ「キャラがイメージと違う!」と嫌がる方もおそらくはいるのでしょう。

 

オチが腑に落ちなかったのもあり、原作を知っている方と知らない方それぞれの感想が気になるところです。あと私が知らない原作の小ネタがまだ仕込んでありそうなのでそこも気になる。


(ドラマの内容と直接は関係ありませんが、脚本を担当した人が公式Xで同業者の悪口を言っているのに引いたので、今後なにか展開があってもパワプロには関わってほしくない気持ちがあります。自分が携わった作品の発表直後にそういう行動をするあたりプロ意識に欠けていると思えてなりません)




同日22時半ごろ追記)


ラストシーンの展開(カレンちゃんと一夜を過ごしてすべて解決)が腑に落ちないので改めて考えていました。

 

その場面に至るまでに「徹夜で仕事をしていた守の姿を西野くんが目撃する」「守も守で事情を抱えながら生きていることを知る」というシーンがあるのだから、そこは西野くんが「猪狩は親の力だけに頼っているわけではなく努力もしているんだ」「仕事や恋愛がうまくいかないからって親や他人のせいにしちゃだめだ」と思い改めて、ゲームの力に頼らず奮起する……という展開であったなら王道かなあと。


それなら努力およばず守に勝てなくとも「次こそは負けねえ!」「ふん、俺だってお前には負けない」で綺麗に収められそうですし(原作の守なら「ボクだって負けないよ」という言い方になるかと思いますが、ドラマの守はこうかなと)


でもそこでまた失敗すると守に対しても「親ガチャに成功したやつはいいよな」的なことを言いながらキレ散らかし、その挙句に「お前にも俺の気持ちは一生わからない」と、進に言われたことと同じことを言われる始末。


そしてそんなだめな自分に凹むならともかく、奇声を上げながらコーヒーを矢部くんにぶっかける西野くん(ここの矢部くん、自分のほうがコーヒーを被っているのに西野くんをタオルで拭いてあげるのが偉すぎます)


その後は西野くんがダメな自分を変えようと努力する……という展開にはならずカレンちゃんの力で解決。だからなんで?


(ダイジョーブ博士に遭遇して心に爆弾を抱えるイベントは「猪狩は徹夜でがんばってるのにオレはこんな方法で……」という西野くんの心境の映像化なのかなとも考えたのですが、それだとその後のシーンで守につっかかってるのは変かなと)


「恋愛に成功したことによって自分に自信がつき、その結果として仕事にも積極的に取り組めるようになる」という状態になること自体はおかしくはないですが、西野くんが精神的に成長した様子が描かれていないのがやはり不満。「自分の他責思考を改善しよう」という姿勢が見えません。

 

花子さんとのデートを断るシーンも「今回の成績は途中までゲームの力に頼ったものなので、次こそは自分の力で1位を取る。その時に改めてデートをして欲しい」といった理由のほうが感じがいいと思いました。


自分から申し込んでおいて「彼女ができたからやっぱやめで!」って、花子さんからすれば気分悪いんじゃないかなと(※もちろんカレンちゃんとはそういう関係でない前提としてですよ)

 

といった理由から「最初はそこそこ楽しめたけど、きちんと考えるほどに不満点が増えた」というのが自分のパワプロドラマに対する総合的な感想になりそうです。


キャスティングや俳優さん達の演技に不満はないのですが、主人公の西野くんが成長しているようでその実していないのが問題点かなと思います。

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