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蒼月ルートと「LIVEALIVE中世編」

更新日:2月17日


私は風花……というか蒼月ルートのシナリオに関して、プレイしてから二年以上「制作側は何を思ってこんな不快なシナリオにしたのか」ということを考えていました。


無抵抗の相手をディミトリと主人公が二人がかりで暴行・殺害し、しかもそれを仲間たちの誰もが注意しないランドルフ殺害シーン。


強いという設定のキャラが三人もいるのに少女一人に対して殺害という選択しか取れず、しかも殺害した相手を気にかける様子もないフレーチェ殺害シーン。


ファン達の言うような「深くて感動的でメッセージ性の強い素敵な話」としてこのシナリオを描いたつもりなのであれば、制作側はなぜこんな不快なシーンを入れたのか? それをずっと考えていたわけです。


その結果として、残念ながら「LIVEALIVE(ライブアライブ)中世編」と同じかもしれないという結論が自分の中で出つつあります。




「LIVEALIVE」は1994年にスーパーファミコンで発売されたRPGで、2022年にNintendo Switchでリメイク版が発売されています。私がプレイしたのはこのリメイク版のほうでした。


「LIVEALIVE」のシナリオはオムニバス形式となっており、それぞれの編が独立した世界観の中で別々の物語を繰り広げます。「中世編」はそのひとつです。


「中世編」のシナリオをかいつまんで説明すると、「いろいろな裏切りに逢って人間に絶望した主人公・オルステッドが復讐として人間を滅ぼす話」です。

 

人間に絶望したオルステッドは子供や老人を含む不特定多数の人々を惨殺し、積み上げた遺体の上で高笑いをします。更にはオルステッドとは無関係なほかの主要キャラたちもすべて殺害してしまうのです。


私は最初にオルステッドが高笑いするシーンを見たとき、オルステッドの笑い声が彼を陥れた親友の声と重なりました。ですから、『これは「けっきょくはオルステッドも彼を陥れた人々と同じなのだ」という皮肉を描いたシナリオなんだな』と思ったわけです。


……が、その後に表示される「SAD END」の文字やこのシナリオを作ったプロデューサーのコメントから、制作側はこのシナリオを悲劇のつもりで描いていたことが発覚。


しかもファン達もこのシナリオを「メッセージ性の強い奥深いシナリオ」と評価し、オルステッドに強く感情移入して悲劇として楽しんでいるようなのです。


それならもう倫理観が合わないとしか言えない。けっこう好きなゲームだったのに残念だ……というのが自分の中での「LIVEALIVE」の評価です。


(不幸中の幸いだったのは、私が好きな「近未来編」のシナリオを担当した方は「中世編」を担当した人とは別ということです)




オルステッドの言動に関するっこみは「ぽっぽブログ」さんの記事がとても的を得ていると感じたので引用させていただきます。


以下、「」内はオルステッドのほかの主人公達へのセリフです。


「君達は英雄になった。しかし、他の人間達は一体何をした? 助けをこうばかりだったろう。自らを危険にさらさないで他力本願に幸せだけは求める……そんな人間なぞ救うに値しないという事……。


幸い君達は戦いに勝って大切なものを手に入れた。だが、それらも所詮一方的な欲望ではないのか? 自分にとって大切なもの……それを守るためならば、他者を傷付けていいのか?お前達もこの世界に住んでいた醜い人間達と同じだ……」


以下、『』内はそのセリフに対するブログ主さんのコメントです。


『なんて言うか……オルステッドって救えないぐらい薄っぺらい人ですね。別に人の価値って戦う強さだけではないですよね? オルステッドは生きていくにあたって、他の人の力を一切借りずに暮らしていたのでしょうか?


戦うための武器も、住む場所も、食べる物もです。オルステッドはたまたま戦う力に恵まれて、それで社会に貢献していただけの話なんじゃないの? 戦い以外の面では結構自分だって他人に頼って生きてきただろうに高慢にもほどがあります。


別に縁もゆかりもない異世界に召喚されて、何の見返りもないどころか酷い扱いすら受けて、それでも健気に人類のために戦ってたとかでもないでしょう?


自分の人生が上手くいかなくなったからって無関係な人まで勝手に恨んで、通り魔的発想で皆殺しにしてやろうとか即決しちゃうような性格だから、恋人や親友に見捨てられたんじゃないの? はっきりいって自業自得と言わざるを得ません。


挙句の果てには自分の大切なものを守るために他人を犠牲にするのが醜いとか、難癖にも程がありますよ。そうやって他人を責めている本人すら達成不可能なことを平気な顔で他人に求めるとか、もはや綺麗事とすら呼べない域に達しちゃってますね。


何でもいいから相手にいちゃもんを付けて、それで自分の明らかな悪事を正当化しようとしてるだけですよね? っていうか、無意味かつ無差別に他者を傷付けているオルステッドの方が遥かに醜いんですけど~ほんとくだらない人だなぁ……』




この方の感想は自分がディミトリに対して抱いた気持ちと似ているのかも……と感じました。


ランドルフ殺害シーンで自分が抱いた感想については「ディミトリおよび蒼月ルートに関する自分なりの解釈」で詳細に記述しているのでここでは省きますが、要約すると「自分の行いを棚に上げて他人ばかりを責めるな」ということです。


「このシーンのディミトリはランドルフに自分を重ねているので、ランドルフへの暴言や暴行は自傷行為なんだよ」と弁護する人もいますが、自己投影であれなんであれ他人を殺害しているという事実は変わりません。


ディミトリや主人公の暴力行為を誰も注意せず、不快感を示したりもしないという状況へのフォローにもならない。


カスパルをスカウトしていれば唯一このシーンに対して不快感を示すセリフを口にする)


そして、その行為によって一人の少女を復讐者にして殺害したことと、それに対して罪悪感を示す様子もないことに対してもフォローにもなりません。


そういった事実を無視したうえでの「悲劇」や「いい話」なんて、自分にはブラックジョークにしか映らないわけです。




蒼月ルートと「LIVEALIVE中世編」のもうひとつの共通点がファンのモラルのなさとマナーの悪さです。


自分が「LIVEALIVE」にハマっていたとき、SNSのTLには「オルステッドは何も悪くないのにかわいそう」という擁護意見と(虐殺行為をしている人に対してこの発言が出てくる時点で既に怖い)彼と敵対しているキャラ達に対するバッシングが平然と行われていました。


そしてそういうシナリオへのつっこみをつぶやいていると、まったく知らない中世編のファン達がFF外から不躾に絡んでくるわけです。


青獅子推しさんたちにはこれとまったく同じ傾向があると感じています。


自分の観測範囲ではBlueskyやMasutodonの利用者が「Xで蒼月ルートの話をすると絡まれるからしないようにしている」という旨の発言をしてるのを何度か見かけた記憶がありますが、そういった情報から青獅子ファン達の過激さがうかがえますね。


そもそも蒼月ルートや「LIVEALIVE中世編」のシナリオが倫理観に欠如しているのですから、それらのファンのモラルが欠如しているのはまあ納得ではあります。そうでなければ、目の前で平然と行われる暴力行為を無視したりはできないでしょうから。


恐ろしいのは、そういう人たちが世の中に大勢いるという点です。

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